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縁のある人(2)。

  • November 29th, 2010 (Mon) 19:45
  • 昔話

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彼女と再会したのは、今から15年以上も前のことです。前回の記事の最後に触れた「彼女の親友でもあった別の女友達」の披露宴に招かれたのです。「最も西から駆けつけた中学時代の友人」としてスピーチすることが、私に課せられた役目でした。そこに彼女も出席すると聞いていたのです。奇跡的に回復したとは言え、九死に一生を得るほどの大事故に見舞われた彼女と会い、いったいどんな言葉をかけられたものか、私には不安でした。

中学時代の友人が圧倒的に少数派の披露宴。その賑やかしくもよそよそしい開宴待ちのホテルのロビーで、私は彼女を探しました。すらりと高い長身にロングヘアーの彼女です。混雑する人波の中で、心持ち視線をあげながら、爪先立ちで彼女を探していました。

すると、思いも寄らぬ後方の、やや低い地点から私の名前を呼ぶ声がしました。振り向くと、ロビーの真ん中にしつらえたソファーに、彼女が友人と座っていたのでした。そこは既に二度三度とウロウロ通り過ぎていた場所でした。まるっきり気が付かない私に呆れ、可笑しくて仕方ないといった口調でした。

それもそのはずです。見憶えのある長い黒髪はそこに無く、初めて見るショートカットの彼女でした。おまけに生まれたばかりの赤ちゃんを抱き、傍らには2〜3歳の男の子が行儀良く座っているのです。学生時代から付き合いがあり、大事故の際には彼女を救った男性と一緒になり、既に二児の母であることは人伝に聞いていました。しかし、まさか子連れで披露宴に来ているとは思ってもみなかったのです。

中学時代の面影だけを頼りにして、私は彼女を探していたのです。見つかるはずがありません(苦笑)。声をかけられてさえ、しばらくは誰かが判らず、キョトンとしていたくらいです。漫画で言えば、「・・・・」のあとにトンボが数匹、飛んでいたでしょう。

大事故の痕跡など、私にはまるで判りませんでした。改めて数年越しの見舞いの言葉を伝えると、「サイボーグみたいになってんでぇ〜♪」と、どこまでも明るく彼女は応えるのでした。その彼女らしさに、痛々しくもホッと安心させられたのでした。当時、私たちは26歳でした。中学時代の甘い感傷に浸らんとする怠惰な私の心根を、既に母親となった彼女の明るさが、モノの見事に蹴散らしたのでした。

披露宴の後、私は二次会に参加する余裕も無く、すぐにトンボ返りしなければなりませんでした。互いに新しい住所を交わし合うこともなく、気が付けば今日まで、さらに15年の月日が流れていたのでした。

(つづく)

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