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もうひとつの聴き方。

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教授が自らのライブ音源をiTunes Storeで配信しはじめたのは、昨年の”Playing the Piano 2009″からでした。その後、続編とも言うべき北米ツアーの音源も、各会場での公演終了からほどなくして、すべてITunes Storeにアップされています。今回の北米ツアーでは、たった3ツィートで始まったという、古川さんと平野さんによるUSTREAM中継も実現しました(その時の模様を記録した平野さんのメルマガ特別編はこちら。感動的です)。

実を言うと、iTunes Store経由での全公演配信も、そして今回のUST中継も、いかにも教授らしい斬新な試みだなぁ…..その程度にしか考えていませんでした。逆に言えば、それ以上の想像力が働かなかったために、昨年はこんな暢気な記事(「旅本」:ツアーブックのこと) しか書けなかったのでした

ところが昨日、日経新聞の文化欄の記事を読んでいて、すこしばかり考えが変わりました。否「変えざるを得なくなった」と言う方が正解です。

「音楽制作 ライブに軸足 ―当日CD化、臨場感に訴え 聴き手との新たな接点を探る」と題された記事。執筆は文化部の多田明という方でした。CD等のパッケージソフト生産額は1998年をピークに低迷し、今や当時の半減。その低迷を補うものと期待された音楽配信もここ最近は頭打ち。しかしその反面、ライブ市場は好調らしく、公演終了後に会場で限定販売されるライブCDはあっという間に完売するのだそうです。

記事はそうした動向を丁寧に抑えたうえで、「音楽を伝えるメディアがCDから配信へ、テレビ放送からネット動画へと移行する中で、原初的なライブの求心力が高まっているのは確かだ」と結んでいます。

配信が主流になれば、当然、パッケージや媒体としての光学ディスクは不要になります。否、環境のことを考えても、不要になるべきでしょう。私自身、CDが無くなることに抵抗はあるものの、DVDやブルーレイ・ディスク等の映像ディスクが無くなることにはまったく抵抗はありません。それどころか、iTunes Storeでの映画配信が始まったことに喝采したくらいです。

CDが無くなることには抵抗があるのに、映像ディスクには全く未練が無いのは何故なのか、自分でも良く判りません。もしかして、今春の引越のさいに処分したVHSの山のトラウマでしょうか(参考記事:「選別の基準」)。しかし、CDもいずれ無くなるだろうことは、私にも良く判ります。

さて、本題に戻ります。なにゆえ教授が全公演のライブ音源を配信し、またUST中継を行ったのか、あるいはその理由や動機はともかく、その結果として、この先にいったい何がどのように変わってしまうのか…..引用した記事にあることが真実なら、それは私たちが音楽と向き合うときの「聴き方」と「消費」に、新たなスタイルが加わるのでは無かろうか…..と思うのです。

つまり、特定の時間に縛られる不自由さを楽しんで、ある会場から配信されるライブ映像を居ながらにして観るという消費のスタイルが常態化するのでは…..ということです。私はあまり観たことは無いのですが、既にDommuneはその先駆けの役割を果たしているのでしょうね。

この動きがポップスはもちろん、クラシックや歌謡曲や演劇等に及んで行くとしたらどうでしょう…..。もちろん、いまは無料だからこそお客が集まるのであって、課金の関所を設けた途端、誰もがソッポを向いてしまうかも知れません。しかし、そうして視聴するスタイルに今のうちから馴染ませておけば、少々の金額ならば誰も文句は言わないのでは無かろうか…..。

私なら、これだけの労力をかけて私たちを楽しませてくれたスタッフの方に、幾許かのお礼を払って報いたいと思います。この先、映像のクオリティが上がって行けば、そして誰もが高速なネット回線に接続できるようになれば(ちなみに我が家は今でもADSL)、きっとそのような聴き方が当たり前になるでしょう。

作品としての「アルバム」とか、パッケージとしての「ライブ音源」が無くなるわけではありません。またライブの記録映像が後日にテレビで録画放送されることも、これまでどおりあることでしょう。しかしそれと同じくらい主流になる聴き方として、「ライブ配信を聴く」という消費のスタイルが常態化する…..。

もしYMOやアルゲリッチがDOMMUNEに登場することがあれば、どなたか教えて下さいね(笑)。

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