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裏打ちする快楽。

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まだ買っていません。まだ買っていませんが、近々、Sailorの顔料系インキ「青墨」を手に入れようと思っています。 Ei-Publishingから刊行のMook『趣味の文具箱』の最新号(No.17)でも、「青墨」開発者である岡本弘嗣さんのインタビューが取り上げられていました。以前、このブログで取り上げた「極黒(きわぐろ)」も、岡本さんの手から世に送り出されたインキなのだそうです。

たとえば古本屋で手にとった古書。その表紙をめくった最初のページに、うっかりすると見過ごしてしまうくらい、痕跡だけを残した万年筆書きの献辞を見たことは無いでしょうか? 恐らくは著者自らの献本…..「◯◯◯◯様 恵存 昭和◯◯年◯月」云々といった具合。でも、贈られた人は既に亡く、蔵書の始末に困った遺族が、ロクに選別もせず、まとめて古書店にに引き取ってもらいました…..てなパターンです。

私もそうした本を幾冊か見たことがあります。消えないとばかりに思っていた万年筆のインキが、これほどまでにあっけなく消滅してしまうことに、決して軽くは無いショックを覚えたものです。なぜならこの頃、息子が生まれてからの記録をモレスキンのポケットサイズの手帳に書き付けていて、既に数冊を越える分量になっていたからです(このブログを始める以前のことです)。

これはまずい…..もちろん、私の代だけ持てば良いので、子孫に要らざる負の遺産を引き継がせるつもりは無く、そもそもそんな心配以前に、将来私が鬼籍に入れば、その後あっという間にゴミ同然に処分されるのがオチかも知れませんが、それでも残すために書いている以上、やはり褪色しにくいインキを選びたいと思うのは人情です。そんな折に出会ったのが「極黒」だったのでした。

たしかに使い勝手の良いインキでした。しかし、使っているうちに判ったことが幾つかあります。まず、真っ黒であることが、私が万年筆を使う楽しみの一部を削いでいた、ということでした。

もとより私はブルーブラックが大好きです。その私にとって「極黒」の黒は、どんな紙に使っても決して裏抜けしない油性のペンに近似していたのでした。もちろん、これは褒め言葉です。ただ、それはこうした製品を生み出した技術に対する礼賛に過ぎないのです。むしろ大事なのは、使っている最中の昂揚感を下支えしてくれる、至って感覚的なもの…..つまり、製品の精度もさることながら、それが裏打ちする快楽のようなものです。

(つづく)

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