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現物至上主義(4)。

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Deutsche Harmonia Mundi -50th Anniversary Special BOX(こちら)は、私にとって初めての全集モノでした。つまり、まったく慣れない買い物でした。にも関わらず、私をこのBOXに惹きつけてくれたものは、同僚の勧めであり、このBOXへの世評であり、1枚あたりの単価でした。さらに付け加えると…..以前、Glenn Gouldのオリジナル紙ジャケコレクションを買い逃した苦い経験が、何のためらいも無く、私の背中を押してくれたのでした。

ところが、この50枚をiTunesに食べさせる作業に費やし、そこにかかる手間暇を経験してみて、さすがの現物至上主義者の私も、「もういいや。」と思うようになっていました。この経験は「CD」という「媒体」を手元で「私有」することの価値を、私のなかで著しく貶めてしまいました。

パソコンに複写するという作業は、「聴くため」に行うわけですが、その作業を経ること無く聴ける環境が整うなら、この作業はまったく無駄な時間を空費していることになります。

たとえば優秀なオンラインストアが有ったとします。好きなアルバムを購うと、そのデータが同じくオンライン上の私書箱(ストレージ)に転送され、私はネットワーク経由でパソコンからでもiPodからでも…..つまり端末を問わずにアクセスでき、時間と場所とに縛られること無く、聴きたいときに聴けるのです。

ところで先程、「転送される」と書きましたが、実はそれさえ架空のことだとしたらどうでしょう……? むろん「オンライン上の私書箱」も架空です。「20GBの容量で、年間維持費が1万円」というのは虚構(「維持費」は現実ですが)であって、実は唯一のデータセンターにアクセスしているだけに過ぎないとしたら…..。

喩えて言えば、銀行の預金と通帳の関係に似ています。ある銀行のある支店の金庫に、私の預金が現実の札束として常時保管されているわけではありません。あるのは通帳に印字された数値です。その数値が、私の必要に応じて「紙幣」に姿を変えるのです。

そんな具合に考えると、もはやCDという媒体はおろか、それを現実世界で扱うショップ(レンタルビデオショップを含む)でさえ、地上から消えてしまって良いわけです。まさに、究極の「空きスペースの確保」です。おまけに購入したものは「通帳」に記録されているわけです。その「情報」こそが、実体以上に、「バックアップ」の「本体」なのです。

さきほど、Amazonにアクセスして、Gouldのオリジナル紙ジャケコレクションがあることを知りました。マーケットプレイスからの出品で、定価よりも値が上がっていますが、いちばん安いもので単価は560円程度(45,000円÷80枚)です。

昨年までの私なら、片目を瞑りながら勇気を振り絞って「ポチっ」としていたことでしょう。しかしいまは、「もうすこし様子を見てみよう」と思っているのでした。それもこれも、iSlate(仮称)の出方次第…..。

(つづく)

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