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兄弟仁義。

  • December 12th, 2009 (Sat) 22:37
  • 家族

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水曜日の夜、用事があって実家に電話を入れました。最初に出たのは母でした。互いに「元気か?」で始まるのですが、その流れで弟が新型インフルに罹っていることを知りました。彼は他県で独り暮らしをしています。母は気がかりで仕方ないでしょうが、相手が新型インフルでは、おいそれと見舞いに出ることもできません。そこらあたりは弟も心得ているらしく、敢えて助けを求める様子でも無さそうだということでした。

そもそも、こんなことも有り得ることを承知のうえで、相も変わらぬ独身貴族を謳歌しているのだから、私の知ったことではない…..とまでは言いませんが、母も良い加減、諦め顔です。ま、持病があるわけでも無し、お医者様にもかかっているようなので、とりあえず薬をもらって寝ているに限る、なにかあれば言って来るだろう、新型インフルも「謳歌」のうち…..ということで、その日は母も私も納得して電話を切ったのでした。

とは言え、やはり気がかりです。とうに三十路を過ぎた弟ですが、独り暮らしの部屋の中で、熱にうなされながら寝ているのかと思うと、なんとも不憫な気持ちになります。もちろん、こちらも仕事がありますから、それを放って行くわけにもいきません。で、なんの慰めにもならないことを承知のうえで、翌日、電話を入れてみることにしたのでした。

電話口のその声は、熱があるとは思えぬほど、いつもの彼と変わるところはありませんでした。訊けば、処方されたタミフルのおかげで熱が下がり、かなり持ち直しているのだと言います。ま、「心配して損した」と思えるくらいがちょうど良かろう…..と、私は早々に電話を切ろうとしました。しかし、退屈で話し相手がいなかったからでしょうか、彼は容易に私を離そうとはしませんでした。

そうして私の与り知らぬ彼の職場の様子やら、その人間関係にまつわるや不平不満やらを捲し立て、二言目には「どう思う?」と私に意見を求めるのです。もとより私は上の空ですから、まともな返答などできるはずも無く、たいてい生返事なのですが、それでも彼は一向にかまうことなく喋り続けるのでした。そして時折、「前の職場のほうが、まだ良かったなぁ…..」とつぶやくのです。

その調子は、「こうして不平を言い続けていれば、いつの日か幸せな状況が自然と天から降ってくるに違いない」とでも言いたげな様子でした。そのくせ、自ら状況に働きかけ、事態を少しでも好転させるべく、積極的に運動を起こそうとする気は微塵も無いのでした。その結果、彼にとっての「現在只今」は、常に彼にとっての不満のタネとして在り続けているのでした。

(つづく)

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