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臨月。

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外回りの仕事を終えた帰路、車の中でNHK-FMを流していました。夕方の5時半頃…..この季節にはありえないほど暖かかった一日の終わり…..分厚い鈍色の雲の間に、ひときわ紅く映えた夕焼の美しい、まさしく逢魔が時の田舎道でした。峠を下る道の向こう、そこに広がる空と湖の、それはそれは美しい夕刻でした。流れていたのは、中島みゆきさんの「アザミ嬢のララバイ」でした。

この曲が彼女のデビューシングルだと知ったのは、ずいぶん後になってからのことです。それまでは優作さんの『探偵物語』、その第6話「失踪者の影」の挿入歌としてしか知りませんでした。愚かしいほど純真な女の子を亜湖さんが演じていて、その切なさを美しく演出したのがこの曲でした。もちろん、当時の私(しかも再放送で『探偵物語』を観た世代)は、その歌い手が中島さんであることを知りませんでした。

さて、そうして「アザミ嬢のララバイ」が終わり、次は誰の曲だろう…..と思っていると、再びみゆきさんの曲…..そして続けざまに3曲が流れ、直後に入ったMCで、やっとみゆきさんの特集だと判りました。富沢美智恵さんがMCの番組「にっぽんのうた、世界の歌」です(個人的には前番組の「ミュージック・リラクゼーション」の方が好きでしたが…..。)

さて、1980年代の初頭を中学生とした過ごした世代にとって、いわゆる「ニュー・ミュージック」の歌い手さん、あるいはその曲は、青臭い当時の日々の記憶の中に、様々な形で宿っているものです。もはや「フォーク・ソング」とは呼ばなくなった頃のこと。当時の私は吉田拓郎も井上陽水も知らず、いきなり中島みゆきで松山千春で浜田省吾だったのでした。

さて、そんな中学1年生(1981)の秋、隣のクラスの女の子が貸してくれたのが、中島さんの『臨月』というアルバムでした。当時の私は「臨月」のなんたるかを知らず、あとになってなにゆえ彼女がそんなタイトルのアルバムを私に貸して寄越したものか、いまとなっては知る由もありませんが、カセットテープA面の冒頭に流れる「あした天気になれ」、裏返してB面の「夜曲」まで、それはそれは胸に染みてきたのでした。

ところが、それほどまでに心を揺さぶったみゆきさんですが、私がハマって聴いたのは翌年のアルバム『寒水魚』まででした。その前後のアルバムに至っては、まるで聴いていないのです。なぜならその後、私はYMOにまっしぐら……。ですから今日、都合6曲もまとめてみゆきさんの曲だけを聴いたのは、本当に久しぶりのことなのです。

不意に『臨月』と『寒水魚』が欲しくなりました。微妙にiTunes Storeに誘われています。冬のとばぐちの切ない心地。日が沈んだあとの、冷たい夜風。久しく忘れていた、「歌には詩があったのだ。」という感覚…..「ぞんざい」という言葉を教えてくれた者は、他ならぬみゆきさんだったかも知れません。

ちなみに、『臨月』のテープを貸してくれたのは、半年前の「あの方のこと」に書いた彼女なのでした。

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