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不確定要素。

  • October 27th, 2009 (Tue) 18:23
  • 音楽

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皆川達夫さんの『バロック音楽』に続けて、先頃刊行された『中世・ルネサンスの音楽』を読んでいます。いずれも、過去に講談社現代新書として刊行されたものに、大幅な加筆と資料添付を施して、講談社学術文庫に加えられたものです。昨日の記事にも書きましたが、本当に明晰な文体です。「スラスラ読める」というのではありません。時代背景や専門的な用語など、門外漢には想像も及ばない箇所も多々あります。

しかし、そうした「敷居の高さ」にも関わらず、読み進めることができるのは、いったいどういうわけだろう…..。もちろん、皆川さんの立場からすれば、相当程度、敷居を下げて書いていらっしゃるはずです。しかし、私には決してそのようには思えないのです。

むしろ、乗り越えるべき敷居がきちんと明示され、その高みまで読者を押し上げようとする皆川さんの意志を感じます。そのことが明晰な文体として現れているのでしょう。なにより、とてつもないカタカナ・アレルギーの私が付いて行けているのですから、これは筆者の力以外のなにものでもないはずです。

さて、皆川さんの2冊の本にまつわることは、いずれ日を改めて書くとして、今日はiTunesのお話しです。と言っても、教えて頂きたいことの羅列になると思うのですが…..。

デジタル時代になって、とりわけ私にとってパソコンが「再生機」の中心に居座るようになって以来、CDから取り込んだものに「音質」などあろうはずが無いと思っていました。もちろん、読み込む形式によって差があることくらいは知っていましたが、通常、iTunesで読み込む場合に一般的な形式(AACエンコーダ)なら、どんな機械を使っても大差なかろうと思っていました。

とは言え、それでも多少は音質にはこだわりたいので、BOSEのM3を購っていたのでした。その後、知ったところによると、たとえばスピーカに繋ぐケーブル1本でも、音質はガラリと変わるとか、iPodの音質もイヤホン次第でずいぶん違うとか、様々なことを耳にするようになりました。

そんなに変わるものなのかな…..。いま、私のiTunesに蓄えているCDは全てAACエンコーダのiTunes Plusという設定に拠るようですが、これで良かったのでしょうか…..。音質が良ければ、それだけファイル容量も喰うわけですから、現実的にはこの設定で充分だろうと思っていたのですが…..。

何故、こんなことが気になりはじめたかというと、実はiTunesに搭載のラジオチャンネルなのです。いま、主にはClassicalのAll Baroque Musicを聴いているのですが、こちらは定期的にCMが入り、しかもそれがいままでの雰囲気をぶちこわすくらいけたたましいのです。

代わりになるバロック専門チャンネルはないかと探していると、同じClassicalのカテゴリーにBarock Musicのチャンネルを見つけました。しかもこちらは128kbps。CMもなく、非常に快適…..と思ったら、どうも音質が悪いのです。64kbpsであるはずのAll Baroque Musicの方が、音質が良いくらいなのです。

う〜ん、BOSE M3の限界なのかな…..イコライザもいじってみたのですが、最適解が見つかりません。意外や意外、デジタルだから(否、デジタル故に?)こその不確定要素があるものなんでしょうか……。

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Comments:8

M.Niijima 09-10-30 (Fri) 1:15

ふたつのネット・ラジオを聴いてみましたところ、mbさんがお悩みのところ、(恐らくこれが、という)原因が判りました。
ところがその説明を含め下書きをしていましたら、いつもどころではない長文に! なってしまっております。
それを投稿しても構わないでしょうか? 期待を煽るような言い様で嫌とは言えないでしょうが…

mb 09-10-30 (Fri) 16:29

うわぁあ〜….軽率な私の記事が、とんでもなくお手数をおかけしたみたいで、本当にすみません!!
「イヤとは言えない」では無く、ぜひ投稿して下さい。同じ悩みを抱えておられる方にとっても、貴重な情報になるものと思います。ブログは決して私的に閉じた場ではなく、情報の共有地だとも思っていますから、その点からもありがたいくらいです。
それでは、M.Niijimaさんの情報を楽しみにしています!!

M.Niijima 09-10-30 (Fri) 22:01

それではお言葉に甘えて失礼させていただきます。

64kbpsのAll Baroque Music(以下ABMとします)は、やはり物理特性としての音質を聴感上においても優れていると言い難いですね。その面では128kのBarock Music(以下BM)のほうが優勢です。
とはいえBMのほうの音はとても汚いですよね。

ところでバロックを含むクラシック音楽は、曲中、小さい音から大きな音の差がたいへん大きなものです。これをダイナミックレンジが大きい(または広い)と表現します。既存の電波を飛ばす放送では急に大きな音が流れないようにあるレベルを超えると音量を下げるリミッターという装置を効かせてあります(それを経ると結果ダイナミックレンジは狭くなる)。そしてこれと同様な装置は音響技術においてたいへんポピュラーなもので、かなりの頻度で、様々な場所(音)で使用しているのです。殊に最近のロックや、ポップスなど目立ってナンボの世界では前述の放送局の最終段で使用すると同じくらい強いリミッティングをCDのマスターづくりの際にも導入しています。これにより音量レベルの平均化を行なうと同時に「物理的に小さな音量の箇所(の音量を)を持ち上げる=大きいところを上から押さえ込んで、全体を底上げする」ことができ、とても派手なサウンドができあがるのです。ところがクラシック音楽のCDではダイナミックレンジの広さ大きさを生かすため、リミッティングをほとんど効かせないか、効かせていることが判らない程度の使用に留めているのが現実です。

さて、ネット放送局でオンエアされるのは既発のCDがほとんどでしょう。これらソースとなるCDを(オンエアにあたり)ストリーミングのためのファイルに変換、送出ソフトにアップして、という処理を放送局(といっていいのかしら?)サイドで為しているわけですが、ファイル変換の際か、送出ソフトの設定なのかは判断できませんが、BMではその中間処理において強いリミッティングをかけているようです。ですから音は前に出てくるのですが、とても雑な音色に感じられます。また演奏者がつけているであろう表現のニュアンスが希薄になってしまっています。mbさんが「音質が悪い」と感じられたのはこのあたりに原因があるのではないか、と実際の音を聴いて判断したのでした。

64kのABMのほうは、確かに物理特性にハンディがあるのですが、全体的に角のとれた、丸い音になっていて、これは逆に音楽的には好感が持てると思ったくらいです。併せて過度のリミッティングを避けているので、演奏のニュアンスが判りやすく実に「音楽的なチャンネル」だと思いました。(もちろん元のソース=CDなどに問題がある場合、話は別ですが)

そしてmbさんが重ねて気になさっている(ABM内の)CMですが、スポンサーにとっては小さな音量で放送を楽しんでいるリスナーにも明確にCM効果を伝えたい訳ですから、CMというのは制作段階でロックやポップス同様にリミッティングを強くする傾向にあります。よって、鷹揚にABMで音楽を楽しんでいるとド派手なCMになってびっくり、興醒めということになるのですね。

いったん強いリミッティングをかけられると、イコライザをいじったところで表現のニュアンスなど決して戻ってきません。mbさんのお手持ちのガジェットのせいではなく、送出側の無粋と諦めるのが潔いのかもしれませんね。
よい音楽音質というのは器も大事ですが、器の中身を扱う料理人の包丁捌きに大きく依存しており、これはネット・ラジオだけの問題ではなくダウンロード商品やCDでも同じことが言えると思っております。

ほんと長文になってしまいましたことご容赦ください。

mb 09-11-01 (Sun) 9:31

M.Niijimaさん、詳細な解説をありがとうございました。またそのために貴重なお時間を割いて検証までして頂いたこと、重ねて御礼申し上げます。

とにもかくにも、私の責任(iTunes側の設定やスピーカや接続ケーブル等々)では無さそうだと判って、ホッとしています。もちろん、こちらの調整によって対応できる範疇を超えているのは寂しいことですが、それならそれで諦めもつくかと…..。
お話しを伺って、とても良く判りました。当たり前のように音が流れてくると思っていたのですが、その背後では、とても繊細な処理がなされているのですね。その処理の加減と、○kbpsとが必ずしも一致しないらしい、ということも…..。
しかし、なかにはBMの音が綺麗に聞こえる環境の方もいらっしゃるのかな…..。放送局(?)ならば、おそらく自局の音の聞こえ具合を様々な環境でモニターしているだろうと思いますが、どうにもノイジーだと思うのですが…..。対照的にABMは、やはりまろやかに聞こえますね。それだけに、派手で唐突なCMのことを惜しむ声が、ネットの各所でコダマしているようです(笑)。iTunes上のバロック専門チャンネルとしては、唯一と言って良い局だけに、やはり残念ですね……。

ところで、M.Niijimaさんなら”Live365″というネットラジオのポータルサイトをご存知かと思います。そのなかの局にも拠りますが、以前はiTunes用のプレイリストがダウンロード出来たはずでしたよね。最近、アクセスしてみると、どうやらその仕様が無くなっている模様…..。残念だなぁ…..。
仕方が無いので、他にバロック専門チャンネルがないものかと探していましたら、昨夜、こんなチャンネルを見つけました↓。
http://www.ancientfm.com/
CMもなく、音質もまろやかで、なかなか快適です(嬉)。iTunesに登録されていなくても、きっとこんな具合に興味深いチャンネルが、きっと沢山あるのでしょうね。

意は尽くせませんが、重ねて御礼申し上げます。

M.Niijima 09-11-01 (Sun) 22:34

mbさん、拙文より充分に意を汲んでいただいたようで恐縮です。
よい音、きれいな音とは、多分に主観が含まれます。そして「前に出てくる音こそ放送音源として相応しいのだ」という哲学をもってすればBMの行なっていることは「それでいいのだ」ということに、、、
実はネット・ラジオをほとんど聴いたことがなかったので”Live365″とか、プレイリストのDLの可否のことなどよく知らないのです。
それでも今回、聴き比べをしていたとき(チェンバロ・ソロや、アンサンブルのものなどいくつか聴いてみて判断しました。)ABMにてC.P.E.バッハ(大バッハの息子ですね)のフルート・コンチェルト(H.445, Wq.169)がかかり、これはいい曲だなぁ(パトリック・ガロワ=FL、C.P.E. バッハ室内管弦楽団の演奏=廃盤=中古屋探しですね)と収穫があったので、こちらこそ感謝です。
また、ご紹介いただいたancient fmは、とてもよい心地になれますね。なんといっても”Music of the medieval and renaissance”ですから、いつか13世紀の音楽がかかるかもしれませんね。

mb 09-11-02 (Mon) 19:10

M.Niijimaさん、返信、ありがとうございました。おっしゃるとおり、なにをもって「良い音」なのか、これはとても難しい問題ですね。なんだか、今日のお題を頂いた気がします。このあと、書いてみようかな。
M.Niijimaさんが、あまりネットラジオをお聴きにならないのは意外でした。もちろん、既にさまざまな音楽に精通していらっしゃるご様子ですから、ラジオに限らないルートをお持ちなのでしょうね。M.Niijimaさんのブログ、Across the Street Soundsを拝読していると、もっぱらそのルートは「コンサート会場・生演奏」かと…..(笑)。
Anciet FMはCMもなく、とても快適です。CMの無いことが、これほど快適とは…..。ひとつだけ気になるのは、その選曲です。「原液」に近い曲が選ばれているのか、それとも現代向けに相当のアレンジの加わった曲が多いのか、にわかに判り難いところがあります。これが聴き分けられるには、ひとえに、この先の私の勉強にかかっているかもしれません(笑)。
とにもかくにも、私のために時間を割いて頂き、ありがとうございました。

hiro 09-11-02 (Mon) 19:20

mbさん、M.Niijimaさん、こんにちは。

お話しとても興味深く拝聴しました。僕はネットラジオを聴きながら通勤することがありますが、これまで特定局で音が悪いとは思いもよりませんでした(BMは聞くことができませんが)。ですから逆にリミッティングの話に驚きました。自宅ではこれまでCDしか聞いたことが無かったのですが、iPhoneを購入してから時々、iPhoneを繋いでその音をスピーカーから聞いていましたが、思ったよりも良い音であると感じていました。携帯電話の細い回線でやって来る少量データでこんなに綺麗な音がでるのか…と。

でもどうも私の耳が悪いのかもしれないと気付きました…というのかmbさんが凄いのですね…(僕は普通!笑)。確かに、CDの音をそのまま送信する事は容量的に無理がありますから、圧縮して、それなりに何らかの犠牲を払ってネットから配信されているのですね…常人の耳は誤魔化せるように…。

Ancient.fm は僕もiPhoneに登録しているのですが、ここのところあまり聞いていません。声楽曲や宗教曲が多くかかるのですが、朝の出勤時に聞くと何だか仕事モードへ移行できなくて。あの世へ行ってしまいそう…というのか…(笑) でも、M.Niijimaさんと同じように、ネットラジオを聞いていると、「あっ、この曲いい」と思ったら画面を見れば、演奏家も曲も分かるので、無数にある曲のなかの、更に無数にある名演のなかの自分の好きなものに出会える可能性があることが嬉しいですね。

僕は最近は加工されたバロックが好きです。ブゾーニのシャコヌに始まり、ニュー・ヨーロピアン・ストリングスのゴルドベルク変奏曲、ジョン・スイスのバッハ、ロストロポービッチのチェロ&オルガン集…等々ちょっと邪道になりつつあります。でもそういう曲の専門曲はネットFMにありません…残念(笑)。

また音楽の話も楽しみにさせて頂きます。

ところで、他のエントリーですが、こちらではコカコーラの自販機ですとカナダドライは売っています。その他は確かに見たことがありません。飲み屋の濃い味のジンジャーエールはウィルキンソンです。カクテル原料なのでストレートだと飲めない人もいるくらいですけど…。あれは一般流通されていないので通販購入するか、それなりの飲み屋へ行くしかないですね(笑)でも僕もあれは大好きです。

mb 09-11-02 (Mon) 21:55

hiroさん、こんばんは。M.Niijimaさんとのやりとり、読んで下さっていたんですね。ありがとうございます(嬉)。
なんだか、密かにiPhoneを勧められているような気もします(笑)。iPhoneでiTunesと同じようにネットラジオが聴けるとは知りませんでした。ただ、通勤は自転車か自家用車が原則ですし、またポータブルなプレーヤーで音楽を聴く習慣が無いので…..。もちろん、NHK-FMやラジオ第1放送が聞こえるようになれば、すぐにでも倒れる用意はあります(笑)。
Ancient FM、ご存知だったんですね。たしかに、臨戦態勢を整えるべき朝の時間帯に聴くチャンネルではありませんね(笑)。ただ、そのことを考えると、NHKーFMの午前6時台にバロック音楽番組が君臨し続けていることは、ある意味で凄いことかも知れませんね(この番組を私に教えてくれた叔父は、通勤の自家用車の中で聴いているのでした)。

ネットラジオ、Live365には、様々に面白いチャンネルがありますから、探してご覧になるのも良いかも知れません。いっぽう、私にとって未だに理解できないのがLast FM…..。なんだか、難しいのです。

しばらく、音楽ネタが続きそうです。よろしくお付き合い下さい。

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