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「偽王子」。

  • October 11th, 2009 (Sun) 22:00
  • 家族

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どんなご家庭でも、家族の中でしか通用しない「言葉」をお持ちかと思います。家族にとってはあまりにも当たり前すぎるが故に、もはや「隠語」でさえなくなって、その「モノ」を指したり表したりするには、どうしてもその「言葉」に頼らざるを得ない…..。たとえば「チンしてきて。」が「電子レンジで解凍せよ。」の意であることは、つとに知られたことで、それはとっくに立派に市民権を得ているのですが、いわばその私家版を誰しもお持ちではないかと…..。

「家風」というと、いかにも武家社会の封建的・権威的な「家格」を表すかのように思われるかもしれませんが、ここでは「それぞれの家庭が持っている特有の雰囲気」といった程度の意味とご理解下さい。

およそ四半世紀前、私たち家族は実家のある土地に戻ってきました。当時、祖父母の家で一緒に暮らすことは、そのスペースから言っても到底無理な相談でしたから、路地を隔てた隣の土地に家を建て、私たち家族はそこに暮らすようになりました。しかし、風呂だけは祖父母の家に「もらい湯」に行っていました。いまだにそうなのですが、祖父母の家の風呂は「五右衛門風呂」で、自分で炊かなければならないのです。

その手間暇が楽しいこと、経済的であったこと、毎晩、祖父母の顔を見に行く口実になったこと、等々の理由から、いまだに祖父母の家の五右衛門風呂を使っています。祖父が他界して21年目になりますが、つい先頃まで、祖父の遺してくれた薪がありました。「焚き付け」になる松葉は、裏山をひとかきすればいくらでも集るのです。

この五右衛門風呂にまつわる話は、いずれ詳しく書きたいと思っています。ここでの要点は、そのおかげで、両親の暮らす家の風呂場は、これまでほとんど使われたことが無く、食料品その他の日用雑貨の貯蔵庫になっているという事実です。したがって、たとえばカミさんが「お義母さん、サラダオイルの新しいの、どこにありますか?」などと訊ねようものなら、即座に「お風呂場を探してみて」という返事が返ってくるというわけなのです。

「食料品」と「風呂場」という、およそあり得ない組み合わせが、我が家では何の異和感もなくひとつの因果に組み合わされると言うわけです。「お母さん、パン、何処にある?」「お風呂。」というやりとりが、客観的にはとてつもなく異常であることを私に教えてくれた者は、当時、実家を離れて15年以上経った頃の、私の弟だったのでした。

(つづく)

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