Home > 昔話 > 続 気づけない終わり。

続 気づけない終わり。

  • September 28th, 2009 (Mon) 19:32
  • 昔話

2008ONM007.jpg

前日に電話を入れていたとは言え、唐突な訪問であったことに変わりはありません。にもかかわらず、先生はとても暖かく、当時と何も変わらぬ調子で私を迎えて下さいました。数年前に建売を買ったというそのお宅は、まだ真新しい匂いがしました。既に3人のお子さんがあり、いちばん上のお子さんは、当時、たしか小学校の中学年であったかと思います。

卒業して十年の時を隔てていたとは言え、先生は何も変わってはいませんでした。にもかかわらず、そのおふたりの間に3人のお子さんがおられる不思議に、私はキョトンとしていました。未だ恋人同士のように見えるご夫婦の間で、賑やかに走りまわるお子さんたちの様子は、どうにも私の頭の中でうまくかみ合ってくれないのでした。

先生は私に恋人が居るのか?と訊ねました。居なかったので「幸か不幸か、まだありません。」と答えました。「ひとり暮らしをしているのだろう?」と、先生が訊き返しました。「はい、そうです。」と答えました。すると先生は「お前はいったい、何をしているのだ?!」と、二度三度と呻きつつ、「アホか。」を連発し、懇々と説諭を始めたのでした(苦笑)。

しかし、どれほど阿呆呼ばわりされたとて、もとより無い袖が振れようはずもなく、しかし先生にそう言われると、私もなんだか申し訳ない気になって「すみません。」を繰り返したのでした。その間に入ってなだめて下さったのが奥様です。「そんなもの、放っておいても、いつか良い人に出会えるに決まっているから。」と。そこには何の根拠も無いはずでしたが、奥様の柔らかな口調で言われると、なんだか私もそんな気がしてホッとしていたのでした。

最終的には「儂は自宅から通っていたが、それでもこの人と一緒になったのだ」という自慢話に落ち着きました。ひとり暮らしという自由な身でありながら、お前はいったい何をしているのだ?というのが先生の主張であり、もし自分が下宿をしていたなら…..という妄想に話しが及び、しかしそこへ話しが飛びすぎると、そもそも奥様との出会いは何だったのか?ということにもなり、次第に話の糸がもつれてくるのでした。

そのもつれを軽やかに制し、別の話頭に転がした者は、他でもない奥様だったのでした。

(つづく)

2008ONM010.jpg

Comments:0

Comment Form
Remember personal info

Trackbacks:0

Trackback URL for this entry
http://memoranda.egoism.jp/blog/2009/09/%e7%b6%9a-%e6%b0%97%e3%81%a5%e3%81%91%e3%81%aa%e3%81%84%e7%b5%82%e3%82%8f%e3%82%8a%e3%80%82.html/trackback
Listed below are links to weblogs that reference
続 気づけない終わり。 from memoranda

Home > 昔話 > 続 気づけない終わり。

Spider
Recent Entries
Recent Comments
Archives
Categories
Now Playing
flickr Photostream
DSCF7851DSCF7849DSCF7848DSCF7846DSCF7844DSCF7840DSCF7839DSCF7853DSCF7833
TagClouds
Search
Feeds
Meta
Counter

Return to page top