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吸入式(1)。

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普段使いの万年筆、セーラーのプロフェッショナル・ギア(PG)の調子ですが、この梅雨空のおかげでしょうか、ここのところ、すこぶる快調です。これまで幾度となくペン先を傷め、そのたびに修理に出し、一時は「修理不可」の引導を渡されるかと思っていましたが、どうかこうか持ち堪えてくれています。キャップを嵌めていることが前提ですが、落としても気にせずに済ませられる万年筆があることは、このうえない安心感を与えてくれます。

そんなPG、不調な時期が続いたおかげで、私に貴重な学習の機会を与えてくれました。つまり、首軸からペン芯とペン先を抜き取る実験台になってくれたのです。「もはやこれまで、だろうなぁ…..」というほど絶不調。「壊れても仕方が無い」と、妙にサバサバした思いを抱えたある日、いつもお世話になっている店主の見よう見まねで、ペン先とペン芯を抜き取ってみようと思い立ったのでした。

微妙な力の加減ひとつで、天国と地獄くらいに書き味が変わってしまう…..そんな脅し文句に、これまでそこは禁断の地でした。しかし、どのみち使えなくなってしまうのだから、せめてペン先外しの練習台に使ってみようという気になったのでした。さすがに最初は緊張しました。なにしろ、どのくらいの力加減なら、ペン先を変形させることなく抜き取れるのか、まるで見当が付かなかったからです。

しかし、頭に思い浮かべていた店主の様子では、少々の力を入れても構わないように思えました。それにガッチリ固定された首軸から抜き取るのには、それ相応の力が必要なはずです。で、思い切って…..しかし、ペン先を歪ませないでも大丈夫な箇所を指で探りながら…..抜き取ってみました。

思いのほか、すんなりと抜けてくれたときにはホッとしました。そうして、洗面台に水をタップリと溜め、首軸、ペン芯、ペン先の三点セットを、柔らかめの歯ブラシでゴシゴシと洗いました。

いやぁ…..そのなんとも心地良かったこと。これまではコップに溜めた水の中に、3日ほど首軸ごと浸けたままにしておいて、固まったインクカスが溶け出すのを辛抱強く待っている必要がありました。しかしそれでも、溶けずに残ったカスがあることは充分に想像できました。

それを、バラバラに分解して、すみずみまで洗浄できるのです。こんなに簡単に外せるのなら、もっと早くに試してみるんだった…..そんな後悔さえ、頭をよぎったくらいだったのでした。

(つづく)

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