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不可解なまま。

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はなはだウロ憶えですが、音楽家の冨田勲さんが初めて手に入れたシンセサイザーは、当時の価格で数千万…..ひょっとすると億単位の値段だったかと思います。当時、日本でそのシンセサイザーを所有していた個人は、冨田さんと加山雄三さんだけだったという話も聞いたことがあります。

私自身、その方面にはまったく知識が無いのですが、それほどのお金を費やして生まれた音色と同等か、あるいはそれ以上に多種多様な音色を、いまやフリーのソフトウェア・シンセサイザーでも実現できるものなのでしょうか?

少年時代に憧れたYAMAHAのDX7やRolandのシンセサイザーも、ソフトシンセとして再現され、実際に発売されたようです。体験版があったかどうか憶えていませんが、とても興味をそそられました。もちろん、私は音楽を聴くことは好きですが、自分で楽器を演奏したり、曲を作ったりすることは出来ません。どうかすると、手拍子でさえ、他人に合わせることができないのです(苦笑)。

ですから、そんなソフトシンセの登場も、指を咥えて眺めていただけですが、かつてなら機材一式を揃えるのに数十万を要していたはずのことが、いまや数千円〜数万円で実現できてしまうのは、なんとも素晴らしいことのように思えます。

安部公房は、ワープロの登場を心から歓迎し、他の小説家の誰よりも早く、自身の執筆に採り入れた人でした。「100%、万年筆と同じだよ」と言い切り、「手書きでしか魂が籠もらないって? ずいぶん軽薄な魂もあったもんだね」と嗤ったのでした。筆圧が高く、推敲に推敲を重ねる安部にとって、ワープロの出現は本当に福音だったようです。

さて、今月初めに発売されたオリンパスのE-P1、過日、ようやく実機に触ることが出来ました。例によって例の如く、「「ペン」というより「デジカメ」だな」という、いつもながらの反応を抱いてしまいました。「良い機械だな」と思いましたし、また「あわよくば…..」とも思っていたのですが、やはり心が揺れることはありませんでした。仮に手元にE-P1とPen Sがあれば、迷うことなく私はPen Sを持ち出すことでしょう。

この調子だと、早晩、登場するであろう(と、勝手に思っているのですが)ブラックボディを手にしても、この気持ちが揺らぐことは無さそうです。もっとも、それを待たずとも、Aki Asahiさんから発売の貼革キットを使った方が、遙かにエレガントに思えます(詳細はこちら)。

他の場合なら、デジタルとアナログを殊更に区別することはありません。むしろ日々の生活の中では、デジタルの恩恵を受けていることの方が多いはずです。なによりこのブログを続けられるのも、手書きではなくワープロを使っているからです。しかし、ことカメラに関しては、どうにもその気になれずにいます。

デジカメWatchのこちらの記事には、E-P1に搭載のアートフィルター、「ラフモノクローム」を使用したサンプル画像が載っています。明らかに森山さんの写真を意識した味付けに違いありません。労せずして森山さんの写真に近づけるのですから、諸手を挙げて歓迎すべきところです。しかし、どうにもはぐらかされたような、また小馬鹿にされたような気がして、感動よりも反感を覚えてしまうのは何故なのか?と考え込んでしまいます。そのお手軽さが腹立たしい(笑)。

しかし、ひょっとして森山さんがデジタルをメインで使い始めたなら、私も一気にその機械を好きになってしまうのでしょうか? フィルムカメラに対する私の思いとは、それほどまでに軽薄なものなのでしょうか…..?

デジカメの使い勝手が向上し、並べてしまえばどちらがフィルムでどちらがデジカメか、その区別が付かないほどの画質を再現できるようになっています。にもかかわらず、私の中では相変わらず、デジカメに一歩を踏み出せない、その理由が不可解なままなのでした(笑)。

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Comments:2

io 09-07-21 (Tue) 0:04

こんにちは〜。久しぶりです。お元気ですか?

冨田勲が当時買ったシンセサイザーはモーグ社のもので一千万円ほど(当時)だったように記憶しています。世界的にもまだまだ未知の楽器だったわけですから日本はもちろん。税関で軍事精密機械だと疑われ数ヶ月納入が遅れたそうです。

また、買ったはいいが、マニュアルがお粗末でわかりにくく、コードをつないでも音が出ず、冨田氏はかなり焦ったそうです。そりゃ大枚はたいて買ったシンセが鉄くずになるわけですから(笑)

松武秀樹は冨田氏の弟子ですから、YMO初期の頃ステージのど真ん中にでーんとおかれていたあのシンセがモーグ社のものです。冨田氏は一度電源を落とすとチューニングが狂うことから当時より一度も電源を切っていないという話しも聞いたことがあります。

こういうレジェンド的な逸話は限りなくアナログに近いシンセ黎明期のことだからこそ。デジタルにはレジェンドは似つかわしくないですよね。故にオリンパスの例のアレもペンを凌ぐレジェンドにはなり得ないでしょうね。

mb 09-07-21 (Tue) 19:17

ioさん、こんばんは!! こちらこそ、ご無沙汰してすみません(とは言え、ブログはいつも拝見してますよぉ〜!!)

冨田勲さんのシンセの情報、ありがとうございました。以前、『大人の科学』がシンセサイザーを特集した時、その中に折り込みの冊子に記事があったことを憶えていたのですが(買っちゃいました(照))、この記事を書いた時、折悪しく手元に無かったので、調べることが叶いませんでした。

そうですか、当時の価格で一千万円だったんですね…..。物価が異なるでしょうから、今だといくらくらいになるのかな…..想像も付きませんね。

私自身、こうした機械のことには疎いのですが、その音色には、やはりアナログゆえの「味」なるものがあるんでしょうか…..。それとも、アナログゆえの「揺れ」や「ノイズ」も含めて、いまのソフトウェア・シンセサイザーは、これを再現可能な域にまで達しているのでしょうか…..?

ただ、あのタンスのようなシンセを前に、配線を切り換えながら行う音づくりに比べて、モニターを前にクリックひとつ、叩くキーひとつでいじれる音づくりとは、その身体性から言っても決定的な違いがあるように思えます。

オリンパスペンの例のアレ、その後、幾度か実機を触りに行ってみました。通常撮影のテンポにも、やはりPen Sには敵わない遅さを感じてしまいましたが、その後「ラフモノクローム・フィルター」を試してみて、そのあまりの遅さに絶句…..。もちろん、私のように止まっている被写体が相手の場合、スピードはまったく必要が無いはずなのですが、このテンポはどうにも受け容れられませんでした。

そう言うわけで、後顧の憂い無く、この先もPen Sを愛し続けることが出来そうなのでした(笑)。E-P1、エポックメイキングな機種として、わずかばかりの歴史の記述に留められることはあっても、実際の使用に耐えうる実機としては、伝説を作り得ないかも知れませんね。

デジカメのモデルチェンジは相変わらず喧しく、GRDIIIの噂もチラホラと流れていますが、この程度の進化なら、まだ何年も泰然自若として居られそうです。その実、E-P1の場合、都合3回程度、実機を触りに行ったわけですが、ま、物欲退散の祝詞をあげに行ったということで…..(苦笑)。

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