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年始の客(6)。

  • April 22nd, 2009 (Wed) 11:36
  • 思惟

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「関所は義母のみ」と私は思い込んでいました。それだけに、あとになって叔母からそっと聞かされた「この娘の嫁入りがこんなにも早いとは思わなかった」という義父の言葉は、土壇場で飛び出した爽やかな意趣返しのように響きました。口にはおろか、顔にさえ出すことの無かった義父の胸中に対して、私は不覚にも、そこに思いを馳せることさえしていなかったのです。

さて、昨日の記事では、迂闊にも「トントン拍子」と書いてしまいました。しかし、それは大嘘でした。ひと波乱もふた波乱もあったのです。しかもその波乱を引き起こした張本人は、他ならぬ私自身なのでした。

当初、式を予定していたホテルと、あろうことか大喧嘩をしてしまい、キャンセルしてしまったのです。それは式のわずか1ヶ月前でした。地元では老舗を名乗るホテルでしたが、こちらの段取りに対するリアクションが鈍いうえ、オプションと称して様々な追加料金を上乗せしようとする根性が気に入りませんでした。

もともと私は、いわゆる「結婚式」でも「披露宴」でもなく、タダの「食事会」のつもりでした。それに対して、相手はどこまでも規格品の「結婚披露宴」を押し付けてくるのです。極めつけはドレスでした。母の嫁入りのさい、祖母が自ら手縫いで仕上げたウエディングドレスに、およそ30年ぶりにカミさんが袖を通すことに対して、当然のごとく「持込料」を請求してきたのです。

今から考えれば、それがホテルの仕組みですし、そのとおりを動かざるを得ない社員の方にとっては、相手が誰であれ、杓子定規を当てはめる以外に手が無かったはずでした。それを思うと、私の怒りは的外れも甚だしく、気の毒をしたと申し訳なく思うばかりです。しかし、当時の私はそのことに我慢がならず、「お金を払ってでも良いから辞めさせて欲しい」と突っ張ったのでした。

そうして最初のホテルとは縁を切りました。しかし、既に日取りを決め、身内に手製の案内状も出していましたから、いまさら日程を動かすことも出来ません。仕方なく、別のホテルを探しました。そこで運良く拾ってくれたのが、オープンから未だ数年という、駅に隣接するホテルだったのです。

応対して下さった女性は、とても思いやりのある方でした。私にとっては恥ずかしすぎる事情を打ち明け、ドレスのことも話しました。するとその方は深く理解を示して下さり、決して規格品の料金表を押し付けようとはしませんでした。

幸い、予定していた日取りが平日だったので、無事に会場を押さえることができました。当日は、ホテルの方々から思いがけないサポートも頂き、小さいながらも暖かい式となりました。私は未だに、そのとき応対して下さった女性のお名前を、忘れることが出来ません。こんな具合に、自分で混乱のタネを撒いておきながらも、予定通り、無事に式を終えることができたのです。

唯一の誤算は、その3ヶ月後、あろうことか私が大喧嘩したホテルを会場に、従妹が結婚式を挙げることになり、カミさんと2人で出席せざるを得なくなったことでした。偽名を使い、かぶりものをして参列しようと、本気で考えました。式と披露宴の間中、何が哀しいわけでもなく、私たち夫婦は、ただただうつむくばかりなのでした。

(つづく)

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