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年始の客(4)。

  • April 20th, 2009 (Mon) 19:42
  • 思惟

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結婚にまつわる私自身の経験とは、概ね次のようなものです。当時、私は就職して1年足らずの状況でした。カミさんは未だ在学中の身でした。そんな私たちの結婚が、当人の予想を遙かに超えてスムースに決着したのは、他の誰でもなく、カミさんの祖母の一言のおかげなのでした。

思いがけない就職が決まったことで、私とカミさんは一時的に遠距離の状態にありました。私自身は、早晩、この人と一緒になるだろうと思っていましたから、当時はそこに何の迷いもありませんでした。しかし、カミさんは距離に起因する不安が拭えぬ様子でした。私という人間が男性的な魅力に著しく欠けることは百も承知でも、離れれば縁が切れてしまうと思ったのでしょう。

それは私にも原因がありました。私はカミさんに「卒業後はいったん親元に戻って就職をし、幾年か勤めて蓄えを作り、然る後に一緒になるべきである」と頑なに主張したのです。「親に学校を出してもらいました。でも、すぐに結婚して他所の土地で暮らします」では、あまりに「人の道」に反するだろう。そのように段取りを踏み外すことが、そもそも赦されるはずが無い、というのが私の思いでした。

そうした私の誠実な思い(言い換えれば、「社会的な規範」にがんじがらめだった私の「世間体」と、「順序を違えれば決して赦されぬだろう」という計算)は、カミさんからみると「別れにかかっている」と映ったようです。いま考えると、たしかに私の物言いは、カミさんにそんな思いを抱かせるに充分すぎるくらいであったと思います。しかし、当時は何故カミさんがわざわざコトを荒立てんとする方向に話を進めたがるのか、全く理解不能だったのでした。

「とにかく、母親さえ納得すれば、ウチの方は大丈夫だから」というのがカミさんの決まり文句でした。しかし私は、義母はおろか、カミさんの身内に誰ひとりとして会ったことがありません。しかるが故に「母親さえ納得すれば」というフレーズは、それを口にして私の安心を保証しようとするカミさんの意図に反して、私の中に義母を最大・最強の敵へと育て上げるだけなのでした。

そんなある日、カミさんから「母親が納得した」と、いとも簡単な連絡が入りました。会ったことも無い男を相手に「納得」も無かろうと、私はにわかに信じられませんでした。しかしその結果、私はご挨拶に伺わざるを得なくなったのです。それはそれは、覚悟をしました。「このツラ提げて、馬の骨です」と一礼し、「ゴミ」と呼ばれようが「悪い虫」と呼ばれようが、甘んじて受ける覚悟で…..。

しかし、それはまったくの杞憂でした。12月も半ばを過ぎた、陽射しの強い日のことでした。

(つづく)

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