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何かの終わり(2)。

  • April 8th, 2009 (Wed) 16:15
  • 電視

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写真にせよ音楽にせよ小説にせよ、その作家にとって売れないことは悲劇です。しかし、ウッカリ売れてしまうこともまた、売れないこと以上に悲劇かも知れません。同じ類の感動を求め、しかしまったく同じでは承知しない受け手を相手に、柳の下の泥鰌を頼るわけにも行きますまい。さりとて別の手法では、コケるリスクを拭えません。成功の自縄自縛ほど怖いものはありません。

以前、TBSの『情熱大陸』に俳優の堺雅人さんが出演したとき、「俳優という職業は決して他人には勧められない」と語っていました。曰く、これほど自由の利かない職業は無いとのこと。演技における一挙手一投足が脚本に縛られ演出に縛られ、そもそも俳優という職業人の生活自体、芸能事務所の完全な管理下にあるわけです。我が身に置き換えただけでも、ゾッとします。

しかし、その裏方だって、同じように不自由なはずです。子ども向けのアニメや特撮作品は、スポンサー企業との関係で筋書きが決まるそうです。定期的に新たなキャラクターが登場し、秘密兵器が増え、そのグッズの売れ行き如何では、脚本の手入れはもとより打ち切りさえ有り得るとか。しかも、そうした相互依存関係にきちんと付き合うことが「大人」と呼ばれ「誠実」と誉められるのだそうです。スポンサーの資金で出来上がる「作品」なのですから、当然と言えば当然のことです。

どこの世界だって「前年度通り」であることが、失敗のリスクを回避する最も理に適った選択です。おかげで、この時間帯には朝の連続ドラマがあり、ニュース番組があり、毎日同じ司会者がブラウン管から茶の間に向けて語りかける「日常」の安心が生まれました。「安心できる」から「日常」なのではなく、「日常」と「安心」を等号で結んだのは、実はメディアだったのかも知れません。

到底、同じ作品とは思えないのに、「仮面ライダー○○」と冠するだけで、あっという間に「シリーズもの」と認識でき、その新作に当初は不満を抱きつつも、連綿と続く仮面ライダーの「歴史」には安心を覚えます。「フジの月9」という言い方も、同じ理由に拠るのかも知れません。「出尽くした感」は否めずとも、無くなってしまうよりはマシだろう…..。「テレビがつまらない」という言い方は、観ていない限り、言えることではありません(苦笑)。

リバイバルやリメークも、当初の珍しさは消えてしまって、今や完全に常態化したようです。緻密な市場調査がはじき出したのは、かつてテレビにまみれて育った私たち世代に訴えかけ、その子ども世代をも巻き込む娯楽作品を大量生産することだったのかも知れません。思いつくままに挙げてみても『CASSHERN』『赤影/Red Shadow』『仮面ライダー The First』『仮面ライダー The Next』『キューティ・ハニー』、最近では『Yatterman』など、枚挙にいとまがありません。

(余談ですが、Amazonなどで買物をすることを称して「ポチッとしました」と言いますが、その起源はボヤッキーだったのかも知れません。)

少年時代に心躍らせた作品が、最新のハイテク技術で生まれ変わったり、しかも「より原作に忠実」だったりするわけですから、さほど興味無く思っていても、無視してやり過ごすにはあまりに強烈な懐古趣味をそそります。おかげで私など、「ハカイダーや仮面ライダーがリメイクされたのだから、次は当然、キカイダーだろう」などと、独り密かに期待を抱いたりしているのでした。

(つづく)

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