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枠の外の物語(4)。

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民俗学者の宮本常一は、1枚の写真を手に1時間でも2時間でも話し続けたと言われます。宮本にとって、写真を撮ることはメモに過ぎなかったと同時に、メモ以上のものでもあったようです。それはつまり、枠の中の物語が、枠の外の物語を喚起せずにおかないような、そんな写真であったということかも知れません。

先月、宮本常一に関わる書籍を多く刊行している「みずのわ出版」が、『宮本常一写真図録 第2集 日本人の暮らし 昭和37-39年』を出しました。『第1集 瀬戸内海の島と町 −広島・周防・松山付近』から、およそ1年半ぶりの刊行でした。

第2集の特徴は、Pen Sによると思われるハーフサイズのコンタクトシートがふんだんに掲載してあることでした。宮本は同じ被写体を構図を変えて何枚も撮るようなことはせず、ひとつの被写体に一コマだけを割り当てている、という話を聞いていました。とは言え、実際には…..と、多少の疑いも抱いていました。たしかに、部分的には重複もありますが、概ね逸話の通りに思えました。

なかでも、特に驚いたことがあります。2007年に平凡社が刊行した『別冊太陽 生誕100年記念 「忘れられた日本人」を訪ねて 宮本常一』、その裏表紙には「魚網の上で昼寝する少年」が掲載してあります。昭和37年8月に山口県の見島で撮影されたもので、まどろむ少年の左下に、山高帽子を被った宮本の影が写り込んでいる印象的な写真です。

Photographers’ GalleryのHPに、上記の写真と戸田昌子さんによるテキストがあります。詳細はこちら

今回刊行された『第2集』には、そのコマを含めたコンタクトシートを掲載しています。その前後は海上を走る漁船と、海から見た陸地の写真…..つまり「魚網の上で昼寝する少年」は、その間で奇跡的に撮られた一コマだったのでした。

撮り手としてカメラを構えていると、私はついつい、目の前の現実を枠の中に要領よく収めることしか考えていませんでした。つまり、枠の中で何かを完結させようとしているのです。それは他人の写真が撮ったものを見るときも同じです。枠の中の物語に注目し、それを理解しようとばかりしていたのでした。

(つづく)

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