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祖父の妹(3)。

  • January 21st, 2009 (Wed) 18:05
  • 家族

2008Krsk029

大叔母のことが我が家で話頭にのぼるとき、父は決まって「○○のおばさんが…..」と言います。ところが、いざ当人を目の前にすると、「姉ちゃん、姉ちゃん」と呼ぶのです。幼い頃、父はこの大叔母を、姉とのみ思い込んでいたのでした。そのクセが抜けないまま、お互いに年齢を重ねて来たというわけです。

当時としては珍しくも何ともないことですが、末娘だった大叔母は、戦時中に嫁ぐまでの間、その母(私にとって曾祖母にあたる)と、兄夫婦(祖父母にあたる)と同居していました。大叔母よりも16歳年下の甥っ子として、父は生まれたのでした。

祖父が出征したのは父が3歳の時でした。そのときのことを、父はボンヤリと憶えているようですが、それはどこまでも残像のままでした。戦時中の我が家は、曾祖母を筆頭に、その末娘である大叔母、私の祖母、その息子である幼い父との4人が暮らす、女所帯であったわけです。

男手が無く、小さな家族での農作業は、父に辛い思い出しか残さなかったようです。幼いながらも一家の担い手として、田植えや水汲みをさせられていたそうです。戦地にいる父親の生死も判らぬまま、心細い毎日だったろうと思います。そんななかで優しく接してくれる大叔母は、まさしく「姉」に他なりませんでした。

しかし、小学2年生のころ、父は私の曾祖母に向かって訊ねたそうです。「きょうだい」と言えば、自分の友達は皆、年齢(とし)が近い者ばかりなのに、どうして自分と姉ちゃんは、こんなにも年齢が離れているのか、と。

すると曾祖母はカラカラと笑い出し、姉と思っていたのか、あれは私の末娘で、おまえの叔母さんではないか、と言ったのだそうです。そのことが、父には余程ショックだったようです。笑い転げる婆さんの姿を、まるで昨日のことのように、いまでもハッキリと思い出せると言います。

そのときの光景を語る父の口ぶりは、およそ70歳を越えた老人の物言いではありません。まるで子どもじみていて、曾祖母に対する切ない恨みをたっぷり込めたものでした。父自身が「お婆ちゃんっ子」だっただけに、他の誰から聞かされるよりも、余計に参ってしまったのでしょう(笑)。

(つづく)

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