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赤錆びた光景(3)。

2007Yskn040

機械に対する物欲は、やがて私の経済力を脅かし始めました。「すべからく事後報告」の度胸を持ち合わせていない私は、なにごとであれ、事前にカミさんに相談してしまいます。ましてや、コッソリ内緒で手に入れることもできません。仮にそのような事態を起こせば、寝覚めが悪くて仕方ないことでしょう。

誤解をさせてもいけませんから、敢えて注釈をしておきますと、カミさんは私の浪費に対して非常に寛大だと思います。また、私が浪費したのと等分に、自らの物欲を満たさんとする駆け引きに出たことも、タダのいちども無いのでした。

そもそも、私が心配になるくらい、彼女は物欲が希薄なのです。「まるで無いのではないか?」と思うこともあります。「そろそろ新しい服でも買ったらどうか?」とか「良い化粧品を使ってみたらどうか?」などと、再三、こちらが促して、ようやく重い腰を上げるのです(上げないときの方が多いです)。

そして、ようやくその気になって、買う気満々で出かけると、どうにもお店の茫漠とした雰囲気にいたたまれなくなるらしく、何も買わずに退散することもしばしばなのです。

たまさか「●●が欲しい。」と言い出したときなどは、カミさんよりも私の方が熱中して、あれこれと品物を比較したりすることもあります。「そんな私の振る舞いが良くないのだろう」と思って、しばらく放置したこともあります。しかし案の定、いつまでたっても行動を起こすそぶりさえ見せないのでした。

そんなカミさんを前にして、ひとりで浮かれていることの疚しさが、「事前予告」や「相談」といった行為に私を走らせるのでした。もちろん、そこでカミさんの許可が得られたとしても、却ってそのことが気になり始めて、「本当に今、必要なのか否か?」と考え込むことになるのでした。

それは、ともかく。

経済力という強敵の前に、機械への物欲が衰えを見せ始めた頃、「それではいったい、いままで私はどんな写真を撮ってきたのか?」という問いが芽生え始めました。答えは至って簡単でした。つまり、まるで面白くもない写真ばかりだったのです。『撮り方入門講座』の足元にも及びません。

こんな写真たちのために、36枚撮り1本あたり、同時プリントまで含めて2,000円近い浪費をしてきたのかと思うと、なんともやるせない心地になりました。とは言え、まるっきり写真を止めてしまうつもりもありませんでした。そうして自ずと「機械」ではなく、「撮ること」に関心が移り始めて行ったのです。

(つづく)

2007Yskn044

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