Home > 思惟 > 善意と好意と不審感。

善意と好意と不審感。

Pens07Tyo050

「168,000円」と聞いて何を思い浮かべるかは、その人の嗜好や置かれた状況によって様々かと思います。狙いを付けていたAV機器一式、限定モノの万年筆、一流ブランドのバッグ、往復の海外旅行券、パソコンの買い換え、友人からの借財(明後日が期限)、カミさんに黙ってコツコツ貯めていたヘソクリ…..。

今月の初めのことです。仕事を終えて帰宅すると、いつもは笑顔で迎えてくれるはずのカミさんが、怪訝な顔で近付いてきます。手には通帳を持っていました。

身に憶えが無く、どうにも釈然としない、ATMからの引き出しがあったようだと言うのです。金額は168,000円。最近の通帳は優秀で、どこのATMから引き出したのか、その記号番号から判るようで、それによると、私の職場に最寄りのATMらしいのでした。

168,000円もの大金を、いちどにATMから引き出すなど、私の日常には有り得ないことなので、一瞬、背筋が寒くなりました。いよいよ私もネット詐欺の被害に遭ったのか、あるいは知らないうちにクレジットカードのスキミングに遭っていたのか…..。

鞄を置くのももどかしく、カミさんから通帳を受け取って、仔細に見てみました。不思議なもので、「被害に遭ったのか?」と思う傍らで、実はカミさんが「振り込み」を「引き出し」と勘違いしているのではないか?とも思っていました。

無論、そんな大金を私にホイっと振り込んでくれる篤志家に、心当たりはありません。やはり間違いなく「引き出し」なのでした。金額の横に記載の日付(7月の末)にも、心憶えがありません。手帳と照合しても、その日は一日中、会議などでドタバタしていたはずなのでした。

ふと顔を上げてカミさんを見ると、そこにはありありと「カメラ、買っただろ。」という表情が読み取れました。折しも、F6熱に浮かされていた頃で、しかもつい2、3日前、なじみのカメラ店で程度の良い中古美品のF6を見つけたと報告していたのでした。

その眼に射竦められると、実は無意識のうちに買ってしまっていたのではなかろうかと、ほんの一瞬、自分で自分を疑いました。まさか、そんな恐ろしいこと…..。しかし、金額が微妙に異なることを思い出し、決してカメラではないと断言できたのでした。

小声で断言したものの、いったいなんのお金だったのか、まるで思い出せずにいました。犯罪に巻き込まれたにしては、やけに所帯じみた被害額です。どこかから引き落とされたのではないかとも考えましたが、通帳を信じる限り、やはり私がATMから引き出したに違いないのです。

ああでもない、こうでもないと考え続け、食事も喉を通らず、そうして思い出したのは風呂場の中でした。なんのことはない、干支がひと回りした我が愛車、その車検の代金の残額だったのでした。

嬉しくて泣きそうでした。そうして、思いました。相手を疑うときには、まずもって善意と好意を示すことが肝要かと。カミさんは「別に良いのよ、カメラでも」と言ってくれていたのでした(泣笑)。

Pens07Tyo048

Comments:0

Comment Form
Remember personal info

Trackbacks:0

Trackback URL for this entry
http://memoranda.egoism.jp/blog/2008/08/%e5%96%84%e6%84%8f%e3%81%a8%e5%a5%bd%e6%84%8f%e3%81%a8%e4%b8%8d%e5%af%a9%e6%84%9f%e3%80%82.html/trackback
Listed below are links to weblogs that reference
善意と好意と不審感。 from memoranda

Home > 思惟 > 善意と好意と不審感。

Spider
Recent Entries
Recent Comments
Archives
Categories
Now Playing
flickr Photostream
DSCF7851DSCF7849DSCF7848DSCF7846DSCF7844DSCF7840DSCF7839DSCF7853DSCF7833
TagClouds
Search
Feeds
Meta
Counter

Return to page top