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影絵。

  • May 8th, 2008 (Thu) 23:36
  • 昔話

2007Ishiyama060

幼い頃、暮らしていた家の近くには、大学のキャンパスがありました。もちろん、そこが大学だという認識は、当時の私にはありません。遊ぶのに都合の良い広場と、なにやら秘密めいた建物と、少し探せばテニスボールがゴロゴロ出てくる、子どもにとっては夢のような場所だったのでした。

ひらがなさえ読めない頃、にもかかわらず「だいがくさい」という言葉を憶えました。幼なじみのお兄さんやお姉さん…..当時、小学5、6年生だったでしょうか……に誘われて、大学祭に行ったのです。私が小学校に上がる前の秋のことです。

そこで、生まれて初めて、影絵を観ました。学生さんのサークルだったのでしょう、劇団の名前は「ぺった」と言いました。暗幕をひいた階段状の…..教室だったのか、それとも「講堂」と言うべきなのでしょうか、よく判りませんが、独特の暗がりのなか、ドキドキしながら正面を見詰めていました。

演目は、芥川龍之介の『杜子春』でした。もちろん、当時の私が憶えたのは「とししゅん」という単語だけです。そして、それが芥川の作品だと知ったのは、ずいぶんと後になってからのことでした。

しかし、私はずぅーっと憶えていたのです。決して忘れられなかったのです。「とししゅん」という男の子の物語……、私を別の世界に引き込んでくれた独特の暗がりと、鮮やかなセロファンに彩られた影絵の世界…..。

(つづく)

2007Ishiyama068

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