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逆の立場。

2007Ishiyama046

10年近くも前のことだったでしょうか。金融機関、とりわけ生保関連企業の破綻が連鎖的に起こっていたとき、「公的資金の投入」という耳慣れない言葉が、にわかに脚光を浴びたことがあります。要は、傾いた企業の建て直しに税金を投入することなのだと知ったとき、とある先輩同僚はとても憤慨していました。まるで財布を抜き取られた被害者のように。

「でも、先輩が加入している生保だったらどうします?」と訊ねると、「「なにをためらうことがある。どんどん、投入しなさい」って言う。」と即答しました。「秒殺」とか「瞬殺」という言葉がありますが、それに勝るとも劣らぬ素早さでした。

数年前、この土地でも地域住民による街角パトロールが広がりを見せ始めた頃、私はなんだか、とてつもなくイヤな気持ちになりました。いくらご近所の底力とは言え、痛くもない腹を探られているような、四六時中、監視されているような……。

自転車で通勤していると、たまにタイミング悪く挨拶をし損ねて、悪気はひとつもないのに素通りせざるを得ないことがあります。そんなとき、背中に浴びせられる「おはようございます!!」という罵声に辟易したことも、一度や二度ではありません。

「盲目的な善意の組織化は、ファシズムまであと一歩だぞ…..。」とか、「そんなことだから、子どもは息が詰まるんじゃないのか?」とか、「他人を信用できない社会だから、街中に作り笑いが溢れるのだな。」とか、不遜にも思っていたわけです。

ところが、この4月から子どもが小学校に通い始めるようになった途端、見慣れた学校までのわずかな距離が、とても危険に溢れた道のりに思えてきました。そしてボランティアの方々の献身的な努力をありがたく思ったり、「もっと人がいれば良いのに。」と思ったり、「なんなら、俺が……。」などと思い出す始末です。

とてもではありませんが、件の先輩を嗤えなくなったわけです。

(つづく)

2007Ishiyama042

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