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任意と強制(6)。

2007Mi187

「ついせんだっても、メキシコ市での大地震のさい、地震の規模に比べてパニックが少なかったのは、テレビが休まず情報を流しつづけたせいだという記事を読みました。おおいにあり得ることだと思います。

「集団化」には強い鎮静作用がある。テレビは簡単に疑似集団を形成してしまいます。このテレビの疑似集団形成能力は、その功罪をふくめて、最近の技術的成果のなかでも最大規模のものではないでしょうか。上野動物園のゴリラのブルブル君でも、テレビでノイローゼを治したのです。

にもかかわらずこの「疑似集団」の過剰生産には、なにか人を落ち着かなくさせるものがある。単に調理済みの情報の過剰だとか、低俗番組の横行とかいうだけでなく、愁嘆場やスターを共有することによる「疑似集団」の氾濫によって、「集団化」衝動にたいする免疫ができてしまうのではないかという懸念です。」

安部公房『シャーマンは祖国を歌う』より。

(『死に急ぐ鯨たち』新潮文庫 30-31頁)

長くなりましたが、この言葉を引かざるを得ませんでした。出典は新潮文庫版のものですが、その元になったのは1985年の5月12日から12月にかけて、安部公房が自身のワードプロセッサに残していた日記です。

この日記、後に雑誌『へるめす』(岩波書店)の1993年、No.46に、その全文が掲載されています。未確認ですが、全集にも収められていることでしょう。引用した箇所は、講演のための草稿として書かれたものの一部です。

(つづく)

2007Mi184

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