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読者の成長曲線。

2006Octtyo047

もう一冊、持って行くべきでした。片道6時間、往復12時間の行程であることは判っていたのですが、どのみち居眠りしてしまうだろうし、なにより最後まで読めたためしのない本でしたから、すっかり油断していたのです。

この土曜と日曜…..世間では行楽日和の三連休…..ありがたいことに出張が入っていました。電車で片道6時間を要する、ほんのすこし遠方の会議室にお出かけでした。

雨に降られることもなく、先週までの猛暑に近い残暑も嘘のように涼しくなり、指定席の右を向いても左をみても、楽しそうな家族連れの行楽客ばかり。そんななか、スーツにネクタイという場違いな服装で、借りてきた猫のように、おとなしく座っていました。にゃぁ〜。

前日までの資料準備で、車内では完璧に眠りこけるはずでした。否、その決意でした。どのみち一泊二日の短い旅行出張。荷物は最小限にとどめておいて、用が済めばサッサと帰る。なにより、中古カメラ屋をまわったり、街を撮り歩く時間も、取れそうにはありませんでした。

荷物を減らす必要と、往復12時間をどう凌ぐか。この2つを天秤にかけたとき、イの一番に思いついたのは、これまで幾度も挑戦し、途中で挫折した本を持ち込むことでした。そうして選ばれたのが、安部公房の『石の眼』(新潮文庫)でした。

『石の眼』については、以前にも「読めない本」という記事に書きました。いくら車内でうたた寝するにしても、12時間、フルにうたた寝することはできまい。長い間の懸案も、ここでようやく解決できる…..そう思って持ち込んだのでした。

そうして朝一番の電車に乗り込み、勢い込んで「さあ寝るゾ」と身構えたものの、気合いが入りすぎたのか、はたまた前日までの疲れでかえって脳が冴えていたのか、なかなか思うように寝付けません。

仕方なく、持ち込んだ『石の眼』を、「いったい、何回目だろう?」と思いつつ、しかし最初のページから、丁寧に読み進めたのでした。

(つづく)

2006Octtyo052

Comments:2

yanz 07-09-26 (Wed) 17:52

片道6時間、往復12時間の鉄道の旅ですか.想像しただけでワクワクしてしまいます.
それだけあれば,本や雑誌を持っていって,車窓を流れる景色を眺めながら,文章に目を落とす.
ああ.楽しい時間だったのでしょうね.

mb 07-09-26 (Wed) 20:36

yanzさん、こんばんは。
明日以降に詳細を書きますが、往復の車中、眠くなったのは、往路の到着前30分くらいで、あとは完全に起きていました。私にしては珍しいことで、しっかり本が読めました。車窓の風景など、まるで視界に入らないくらいに…..(笑)。なんだか、久しぶりに読書らしい読書ができて、本当に幸福でした。仕事が二の次だったことは言うまでもありません(笑)

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