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妙齢の女。

2006Octtyo017

人口の少ないこの土地では、そもそも道行く人とすれ違うこと自体、あまりありません。みんな、車で移動するからです。ですから、観光客以外で「フィルム一眼レフを首からぶらさげて独り歩く妙齢の女性」とすれ違うことなど、滅多にあるものではありません。

先週の出張の折、海端を走る単線のローカル線、その中程に位置する駅で、帰りの特急を待っていました。わざわざ特急が停まるくらいですから、この地域でも主要な駅に違いありません。無人駅のつづく線にあって、唯一、人の往来のある駅です。

出先での仕事を終えて駅に着いたのは、特急の出る20分も前でした。ですから、ホームはほとんど貸し切りの状態でした。至極のんびりとしたものです。その日は一日中、雲に覆われていて、いくぶん、湿度は高めでしたが、「残暑」と呼ぶほどではありませんでした。

ホームのベンチに腰を下ろして、ボンヤリとしていました。3日前に来たときには気が付かなかったのですが、北向きに広がる眼の前の風景が、昨年と一変していることに気が付きました。もっともっと、雑然としていたはずだったのです。

駅の管理地らしく、野ざらしになった枕木、点検用と思しき黄色のディーゼル機関車、ほとんど使われなくなった引込線、事務所と仮眠室を兼ねたボロボロの二階建プレハブがありました。ご多分に漏れず、スレートにはほうぼうに穴が空いています。そうして、あたり一面にセイタカアワダチソウが生い茂っていました。

それが今年は、綺麗さっぱりとサラ地になっていて、取りつくシマのないくらい、ボンヤリと広がっていたのでした。整地を終え、来週には基礎工事が始まります、と言わんばかりの様子です。眼の前の静けさと、そして近々やってくる騒音とが、頭蓋の内で奇妙に反響するのでした。

この場所には年にいちど、出張で必ず訪れています。私が就職して以来のことですから、ちょうど11回目になります。来年に訪ねるときは、まるで変わっているのだろうな…..と判っていましたが、何故か、持っていたGRを向ける気にはなれなかったのでした。

(つづく)

2006Octtyo015

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