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Penの快楽、補遺。

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昨日の記事の終わりに「デジタル時代だからこそ、Penの存在意義が高まっている」と書きました。これは「デジタルの対極にあるモノ」としてPenを捉えたのではありません。むしろ「Penとデジタルの共犯」とでも言えばよいでしょうか。

銀塩ハーフサイズという特異なカテゴリー、そのフラッグシップとも言えるPenシリーズが、自らを電気信号に変え、最新のテクノロジーに潜り込み、各所に散らばる愛好家を結びつけたうえ、そのレンズが記録した写真をバラ撒いて行く……。

銀塩に籠城するのではなく、むしろデジタルを呑み込んで血肉化し、その存在感を高めている…..そう言いたかったのでした。そしてその旗を掲げて下さったのが、ほかでもないMazKenさんだと言うことです。

さて、うまく文章にできなかったため、今回の連載では問いのまま放置された言葉があります。それをそのまま、私自身の記録用に並べておきたいと思います。

●何故、Pen S3.5は誕生したのか?

→三光ペンと入れ違いに生まれたS3.5。既にS2.8が販売されていたにも関わらず、何故、先祖返りのようなS3.5は生まれたのか? 三光ペンのレンズ+S2.8のシャッターユニット=S3.5という定説は本当か? その廉価版的な位置づけと短命な理由が良く判らない。

●三光ペン、S2.8、S3.5、Wのレンズ性能の違いが知りたい。

→要するに「広角・希少価値・超高額」以外に、Wが優れている点は…..? 製造時のレンズの数値性能が最も優れていたのは、やっぱりWなの…..って書けば書くほど、Wに興味津々であることを暴露してしまう私。

●本格的にPenシリーズを使っていた写真家って…..?

→森山さんのPen Wはあまりにも有名です。写真家では有りませんが、宮本常一はPen Sを使っていました。Penシリーズが製造・販売されていた時代、これを本格的に使っていた写真家さんって、どんな方がいらっしゃるのかなぁ……。

●ところで、BressonはPenのことを知っていたのか? もしくは使ったことはあったのか? あるいはOlympus社は寄贈しなかったのか?

→客観的にはどうでも良いことでも、私的にはとても気になったりします(笑)。

●余談ですが、今日と昨日の縦位置写真が、今回、ペンスケッチ展3で展示して頂いた「写真」だったのでした。昨日のモノは夜の街のスナップ、今日のタテ写真(2コマとも)は、出張先のホテルでのテレビ画面を複写したものです。

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Comments:8

MazKen 07-07-19 (Thu) 21:32

mb氏の作品がT-shirtにプリントされているとは…私の作品が超ミニプリントだったり、今回は表現手法にこだわった感じです。
もっとも、こういう展示法は正直評価が低いようです。
やはりガラスの額でないと、メジャー路線には乗りません(笑)

私は少なからず「デジタル化画像なのに、なぜデジタルで撮らないのか?」という質問を受けます。

今回、私のブースには「視神経と指の運動神経を駆使する快感。うまく撮れないからNEXTが楽しい」というコピーを置きました。
全自動化、高画質化から小型化に移行するデジイチ。OM系どころかPEN-F系よりも軽量で小さなデジイチが登場しています。

テクノロジーの爆発的進化は当然、全ての仕様においてフィルム一眼を超えてしまうでしょう。
その中で唯一、アコースティックカメラが絶対有利なもの…それはマン/マシンインターフェース=人間と機械の関わりではないでしょうか?
全自動のロボットが、撮影者のスキルや経験などお構いなしに画像を記録するのではなく、あくまで個人の能力の範囲でしか写らない不器用な機械。
失敗を楽しむなんて、この時代とても贅沢な遊びだと思うのです。

他方、デジタル暗室は、最後の仕上げまで作者が作品に関与できるからこだわるのです。

complex_cat 07-07-19 (Thu) 21:49

Penのトリビア的な設問は,どれも正解は分かりませんが,何故、Pen S3.5は誕生したのか? については,こういうことをよくやるメーカーであったと思います。やや高価な仕様のものを出すと,必ずバランスを取ろうと廉価モデルを出したりすると言うのは,かつての日本メーカーの製品ラインナップにはよくありました。その後の同社のXAなども,そんな感じでしたね。

 Old ZuikoはOMのものを仕事で長々と使って,何となくお茶漬けのような発色と描写という印象でして,個人的にはコダクローム以外のフィルムで使うと何となくぱっとしなくて,やや苛ついたのを覚えております。それもあって,天の邪鬼な私はハーフしてはペン以外のAgfa Paramat,Kyosera Samuraiを使っております。
 AgfaもKyoseraも発色が気に入っていますが,しかしカメラ単体のメカニズムとしては到底Penには及ばないかもしれませんね。それもあって,ここのアーティクルを拝見して,私でさえも,やっぱり1台手に入れるべきかと思ったりする次第です(笑)。何となく,モノクロームの方が適したレンズではないかなと思っておりますがカラーでの発色や描写はいかがでしょうか。
 ちなみに,ハーフ版だとデジタル時代でも72枚は撮りでがありますよね。かつては,これが逆に短所とも言われました。一般家庭でたまに撮影する状況では全然フィルムが終わらないので現像に出せないといって。だからって,デジタル時代向きという話ではないでしょうけど。

hiro 07-07-19 (Thu) 22:59

明日は「続・補遺」、明後日は「続続・補遺」、を期待して…。

新参の私も complex_cat さんと同じ意見を持ちました。
私の愛機はPEN-Dです。レンズもシャッターもスペックがまったく同じなのに
D2はDと併売されました。違いは露出計の感度差だけです。S2.8とS3.5との
併存よりも理解し難くも思えます。EE系などでも同じような事があります。
PENは豊富なラインナップをとても意識していたのではないかな?と。

豊富なラインナップは現代でも車やPCや携帯等々、販促の常套手段ですよね。
F系には他社レンズのアダプターが純正で豊富に用意されてたのも特徴的では。
他社ラインを労せず取り込めてしまいます。

S3.5の存在意義はこんなところにあるのではないのかな?と思いますが平凡な
見方でしょうか。S3.5は憧れのカメラです。なかなか入手できません。
かといってこれ以上増やせば使わないカメラが増えます。
なんとも悩ましいことですね。“カメラのラインアップ”…。

Mazkenさんにはこんな場所でお会いできました。mbさんには大変失礼ですが、
恥ずかしいのでこの場をお借りしてこっそりと来期お誘いお礼を申し上げます。
でもどう考えても今はとても無理です。皆さんのblogを拝見するにつけ…。

mb 07-07-20 (Fri) 23:00

いちどに3人の方から、しかも長文のコメントを頂き、本当にありがとうございました。かなり喜んでいます。

>MazKenさん
「みんなちがって、みんな良い」を拡大解釈しすぎたか…..と反省しきりでした。しかし、Tシャツの構想は、第3回のご案内を頂いた時点で既に固まっていて…..。実はもう、第4回の構想も。いえいえ、Tシャツは二度としません。改心しました(笑)。

>「デジタル化画像なのに、なぜデジタルで撮らないのか?」

同じことを、なじみのカメラ店の店長に言われたことがあります。私が中判に手を出さない理由として「フィルムスキャナが高価だから」と答えたときです。「紙に焼かんのだったら、デジタルで良いではないか」という「冷笑」でした(誤解ありませんように。とってもイイ人なんですよ)。
けれども…..と思うのです。果たして、フィルムで撮った写真と、デジカメで撮った画像とは、デジタル化の工程を経てしまえば、さして大差なく、同じものになってしまうのでしょうか…..?
「某社のコンパクトデジカメだけで撮った」と称する写真本を立ち読みしたことがあります。本として刊行されるまでのプロセスなど、門外漢の私が知りようはずもありませんが、特にポートレートのアップを見たとき、いかにもデジカメらしいハレーションを感じて、なんとも興醒めしました。被写体に備わる微細な奥行きを、撮像素子がムリヤリにならしてペラペラにした感じ….とでも言えば良いでしょうか。
フィルムという「物体」に刻印される光の造形と、「撮像素子」によって変換されたデータとは、その質感において、決定的に異なる何かのような気がします。また、ことさらフィルムに肩入れするワケではありませんが、その保存性と閲覧性の簡便さでは、絶対にフィルムが有利だと思うのです。
「失敗を楽しむ」……おっしゃるとおりだと思います。
さて、前後しましたが、今回も本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。

mb 07-07-20 (Fri) 23:15

ひと息ついて。

>C_Cさん
問題は、廉価版を作らせる「動機」なんです。ある程度のパーツの共有化が可能であれば、スペックを落として価格を下げ、全体のブランドイメージを底上げする….そうでなくとも「揃いの規範」が大好きで、コレクター志向の強い日本男児の趣味心を刺激する「ラインアップ」のおまじない…..と仮定した場合、例えばPen S3.5は、三光ペンのレンズやパーツの在庫とS2.8用のシャッターユニットをくっつけた、短命であることを承知のうえの製品だったのかな…..と。
しかし、あくまで素人判断ですが、私の手持ちのPen Sの場合、S2.8よりもS3.5の方が、発色もクリアでシャープなように思えるのです。決して、あまったパーツを組み合わせて出来上がった製品などではありません(と思います)。
Pen Sのカラーでの発色について、私はそれを云々する力を持ち合わせていませんから、なんとも言えませんが、ご参考までにflickrに載せている宅野の写真をご覧頂ければと思います。とは言え、今となっては機種別の定評よりも、個体差に依存することの方が多いのではないかと思います。MazKenさんもガイドしておられるとおり、気に入った個体にであったら、まずは試写をなさってはどうかと思います。いずれにせよ、一家に一台は、置いておくべきカメラではないかと。
ハーフサイズの短所。納得しました。コマの最初と最後が冬景色で、間に春夏秋があるという笑い話を聞いたことがありました(笑)。

mb 07-07-20 (Fri) 23:32

>hiroさん
すみません、続けられませんでした(苦笑)。とは言え、いつかその時期が来たら、思い出したように続けてみます。今回の連載は、hiroさんに背中を押して頂いたようなものでした。ありがとうございました。
Pen D、実は尋常ならざるカメラマニアであるところの我が父の元に、何台か転がっているのです。15〜20年近く前のようですが、当時はPenシリーズが中古で安価に出回っていたようです。そのとき、Leicaなど買えない代償行為に、ひたすらPenシリーズが増え続けたのだと言うことでした。WやS3.5が無かったのは「当時も高かったから」という理屈でした。
私のS3.5は偶然に知人から譲って頂いたものです。本当に幸運でした。変な言い方ですが、使い続けるなかで、私にとっても憧れの機械になっていきました。hiroさんも、良い個体にめぐり逢えると良いですね。
所有カメラのラインアップ…..私は防湿庫がいっぱいなことと、実家の父の所有物が膨大で、とてもこれ以上は無理そうです。幸か不幸か、フィルムカメラは「タダの箱」への道をまっしぐらのようですから、今後も増える見込みは無さそうです(苦笑)。

MazKen 07-07-24 (Tue) 23:27

フィルムカメラは単体では、タダの箱です。
客観的に申せば、デジカメ以下の無意味な機械です。

フィルムを詰めた瞬間から、人の操る道具になります。
カメラが自動的に画像を記録するのではありません。
人が任意の露出・ピント・一期一会のシャッターチャンスで、瞬間をフィルムに焼き付けるのです。うまく写るかは操作する人の技術と経験、集中力次第です。

露出のミスもピンボケも手ブレも、カメラのせいではありません。
簡潔明瞭に使う人の問題なのです。
それを思い知らせてくれるから、デジカメには無い緊張感が心地好いのです。

mb 07-07-26 (Thu) 0:15

MazKenさん、こんばんは。

フィルムカメラの快楽、それもフルマニュアルの快楽は、機械が人間の身体に主役を与えてくれているからかもしれませんね。適正値からの「ズレ」も含めて、人間がコントロールする余地を残してくれている。

フィルムカメラを形容するときに「使い手を選ぶ」とか「使い手に訓練を強いる」などと言いますが、そのように見えていながらも、決してカメラが我を張っているようには思えません。

それに対して、デジタルカメラ……使ったこともないので、単なる偏見ですが、やはり「電気」に使われているような気がして仕方ありません。予備のバッテリーと充電器をお供に、コンセントを探しながら、そして常に残量を気にしながら使わなきゃいけない。フル充電していたはずなのに、1ヶ月後に引っ張り出してみると、最初は満タン表示だったくせに、5分と経たないうちに空っぽに…..。なにより「空シャッター」という概念さえ、無くなって…..。

自動演奏機能付きのアップライトピアノの前で、ムリヤリに演奏できるフリをさせられるような気がします。拙くても、自分の指で演奏できた方が、気持ち良いに決まっています。

デジタルカメラ、とても付き合う気にはなれないのでした(苦笑)。

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