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蚊帳。

2006Dks097

梅雨にしっかり雨が降ると、夏はこんなにも涼やかなものかなぁ…..と思います。今のところ、職場でもクーラーいらず。吹き込む風が、あまりにも涼しいものですから、時折、窓を閉めて調節したりしています。

この土地に移り住んで10年になりますが、およそ記憶に無いほど涼しい夏です。そうしてどこかしら、懐かしい心地がしています。私の子ども時代の夏を思い出しているのです。

ジリジリと陽が照りつけるばかりが夏ではありませんでした。日中でも、日陰に入れば涼やかな空気を感じることがありました。夕立に見舞われることもありました。お湿り程度なら蒸し暑さが増すだけですが、本格的に降りますから、やんだあとはとても涼やかなのでした。

そうして夜になると、そこらの草木に夜露が降り、その露が月明かりに照らされて、ひっそりと輝くのです。夜露を蛍と見間違えたこともありました。

父方の実家は山を背に建っています。田の字型のその家は、夏の夜には襖も戸も開け放し、蚊帳を吊って眠るのでした。夏休みに入ると、当時暮らしていた関西の家から父方の実家に帰り、ほぼ1ヶ月近くを滞在していました。

蚊帳を吊ると、その天井部はハンモックのように湾曲しています。それは子ども心にも、乗ってみたくなるものでしたが、当然の如く、祖父母は決して許してくれませんでした。物心つかない頃、乗せてもらったことはあったようでしたが(笑)。

そうして祖父と枕を並べ、煌々と照る月を眺めながら眠るのです。ほのかに蚊取り線香のにおいがします。電気で焚く無香料の除虫液より、原始的な蚊取り線香の方が良く効く気がするのは、おそらくこうした幼児体験によるものでしょう。

当時から、祖父は高血圧でした。さっきまで横になっていたはずの祖父が、気がつくとあぐらをかき、布団のうえでうなだれていることがありました。声をかけると、返事をするのもつらいようで「えれぇ(「しんどい」)。」と呟きます。

そのまましばらくすると落ち着くのか、再び横になって眠ります。私もホッとして、また眠るのです。

(つづく)

2006Dks094

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