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神の見えざる手。

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あらかじめ書いておきますと、私は細かいお金の計算が苦手です。同僚のなかには、日々の支出を事細かく手帳に記録し、計画的かつ倹約に努めている者もいますが、私はそんな同僚をただただ感心して眺めるばかりで、ちっとも我が身に応用することができないのでした。

そうして、時折……..年に1、2回の割合で、カミさんに懸念を表明されることがあります。たとえば、立て続けに写真集を購ったときとか、フィルムの消費量が多いときとか。

それもその場で言うのではなく、「そう言えば、極端に多い時期があった」と、思い出すように触れるのです。その鷹揚さを、ありがたく思わなければなりません。

それでは何故、このように支出にムラがあるかというと、ここにはいくつかの複合的な要因があります。

第1に、私になんの断りもなく、好きな写真家が新しい写真集を立て続けに刊行する場合。第2に、私になんの断りもなく、好きな写真家の絶版写真集が古書店のWebに掲載される場合。第3に、私になんの断りもなく、なじみの中古カメラ店に、めぼしい機械が鎮座しているとき。そして第4に、やはり私になんの断りもなく、仕事が山積してストレスが溜まっているとき。そして第5に、私の意志などまるで無視して、これらが絶妙のタイミング重なり合うときです。

こうして理由を並べてみると、総じて「私になんの断りもなく」というのが、常ならぬ支出を私に強いる原因のようです。ただ、それは決して「余計な支出」ではありません。日々の暮らしに潤いを確保するための、やむを得ざる、あるいはやむにやまれぬ支出と言えるでしょう。その心に「我慢」の関所は無いも同然です。

ところで、過日の土曜日は、公民館で地区の夏祭りが開かれました。そのなかの出し物に、息子の幼稚園から園児たちが出場し、先生と一緒に踊りを披露する演目があると言うので、カミさんとふたりで出かけてきました。

愛機F3に珍しくカラーネガ(KodakのGold400)を詰め、105mm f2.5sを付けて出かけました。息子たちの出番は午後6時。まだ陽が高く、ISO400でも充分な明るさでした。

正味10分にも満たない出し物でしたが、子どもたちは元気よく、踊りを披露してくれました。ふだん、幼稚園での子どもの様子を見ることがありませんから、これは本当に貴重な機会。家の中では判らなかった子どもの成長に触れ、感慨深いものがありました。

他のお友達もいたので、自ずとシャッターを切る機会も増えます。そうしてわずか1時間ほどの間に、36枚撮りを1本、撮り切ったのでした。翌日、いつものカメラ店に同時プリントを依頼し、その日の夕方に受け取りました。

同時プリントを出したのは、本当に久しぶりです。Agfa Precisa100の製造中止以来、私の常用フィルムはすっかりモノクロームになっていました。自家現像をする時間が取れないので、いつもラボに出すのですが、その場合、フィルム1本420円(Tri-X、Neopan1600の場合。Presto400なら410円。いずれも36枚撮り)+現像代420円の計840円で済みます。

かつて、Agfa Precisa100を使っていたとき、フィルム単価は330円。これに現像代810円の計1,140円でした。色は付かなくなりましたが、これだけでも相当のコスト削減になりました。

しかるに今回の同時プリント。フィルム単価こそ200円程度ですが、現像代が630円、L判と同じ価格のハガキサイズが単価37円×37枚=1,369円。合計2,199円。余っていた200円サービス券を使っても、1,999円という、原油高もビックリの、驚異的な数字です。

良質のMook一冊が平気で買えてしまう、この値段……。需要が減れば価格は上がる……いずれ「神の見えざる手」の所業でしょうが、こうなると、同時プリントは出せないなぁ…..と思わざるを得ません。

このカラクリ、フィルムの延命に是が非でも必要なことなのか、それとも、フィルムに引導を渡すためのアリバイ作りなのか……。なんとも悩ましく、「お先真っ暗。」と言ったところです。

2006Dks104

Comments:4

complex_cat 07-07-31 (Tue) 16:52

フィルムの卸価格が,じりっじりっと上がっているようですね。そのうち高級画材も真っ青になるかも知れません。

mb 07-07-31 (Tue) 18:17

C_Cさん、こんにちは。
そうなんですか! そのあたりの業界事情については本当に疎いので、いったい、何がどうなっているのやら、皆目見当が付きません。
とにもかくにも、「フィルムそのもの」よりも、その現像を支える薬品類や、ラボの整理縮小が大きいようですね。いつも地元のカメラ店に、白黒フィルムの現像を依頼するのですが、とても想像もつかないほど遠方で現像してもらっている模様です。そのくせ、週の初めに出せば、中一日で戻ってきます。輸送費のことを考えただけでも、この価格でできるなんて、とんでもないことなのかもしれません。ただ、願わくば、いつまでもこのまま続いていって欲しいものだと…..。

M.Niijima 07-08-02 (Thu) 11:25

このような状況下、メーカー、インフラ、ユーザーがそれぞれ負担を共有してゆくことが、必要だと思います。
ご存知の通り、わたくしは白黒を自家処理していますので、大きなことは言えないのですが、ときどき撮るカラーに関しましては、ミニラボに出してゆくことに致しました。

mb 07-08-02 (Thu) 21:53

M.Niijimaさん、コメントの反映が遅くなってすみませんでした。今日の記事に書いたような事情だったのでした。
おっしゃるとおり、フィルム文化の存続に関しては、ユーザーの責任、負担も必要だなぁ…..と、ヒシヒシと感じています。
しかし、本当にフィルムを無くすつもりなのでしょうか。わたしにはどうしても、デジタルが長続きするようには思えないのです。

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