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夏の推薦図書。

2006Dks106

定期購読はしませんが、時折「おっ!」っと思う特集を組むために、日々のチェックが欠かせない雑誌やMookがあります。「別冊太陽」も、そのひとつ。今回は民俗学者、宮本常一の特集です。

書店で見つけたとき、ロクに中身も確認せず、手にとって真っ直ぐレジに向かいました(笑)。(詳細はこちらです。

生誕百年になるのだそうです。渡船とおぼしき舟のうえにあぐらをかき、穏やかに微笑んでいる宮本の姿が表紙です。その手にあるカメラ。見憶えのある軍艦部。レンズの出っ張り具合から見て、間違いなくPen S2.8でしょう。目次ページの欄外に、小さく書かれた解説を見ると、「昭和38年8月12日、五島列島・頭ヶ島へ向かう船上で。写真提供/芳賀日出男」とあります。

気になるのは、右手に持つPen S2.8のほかに、もう一台、カメラを持っていることです。同じ右腕に通したストラップの先を目で追っていくと、あぐらをかいた右足の太腿の向こう側に、ソフトケースに収まったカメラを認めることができます。

ケースとストラップの形状から推察して、これもPen Sじゃないかなぁ……。他の書籍から、宮本がPen Sを気に入っていたことは知っていました。壊れるまで使い倒したとか、旅先で無くしてしまうと、その土地のカメラ店で新しいものを購ったとか。私もPen Sが大好きですが、同時に2台を持ち歩こうとは思わないなぁ……(笑)。

宮本の写真に「学問」や「芸術」の衣を被せるのは適当ではなかろうと思っています。ひとりの人間が、日本中の様々な土地を歩き、メモ代わりに膨大な写真を採集した。それで良いではないかと思うのです。

写真史研究家の戸田昌子さんが、このMookのなかで、宮本の写真について寄稿しておられます。興味を覚えたのは、宮本が自らの影の写り込みに頓着無くシャッターを切っているという指摘でした。

演出代わりに影を写し込もうという意図は、おそらく宮本には無い発想だったのかもしれません。しかし、その作為の無さが、逆に「単なる資料写真」の域を超えて、「宮本が見た」ことを生き生きと伝えているようです。

このMookの裏表紙にある写真。夏の盛りでしょうか、漁網を布団にうたた寝している子どもと、その左隅に写っている、帽子を被った宮本の影。宮本の慈しむような微笑みが伝わってくるようです。

宮本常一のことをご存知ない方には、格好のMookではないかと思います。宮本の写真も、ふんだんに掲載されています。こんなふうに様々な土地を歩くことができたら…..と思わずにはいられません。この夏いちばんの推薦図書です。

Mookの冒頭にある佐野眞一氏の寄稿文、「宮本を顕彰することよりも、宮本の精神こそ受け継ぐべきだ」という主張。なんだか、とても心に響いて来るのでした。

2006Dks099

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