Home > 写真機 > 続 続 間一髪。

続 続 間一髪。

Oki0070

Mさんの口癖は「逆に言えば、」です。話の切れ目には必ず「逆に言えば、」の接続詞が入ります。あまりにも「逆に言えば、」を多用されるので、しまいにはどの方角から歩いてきたのか判らなくなります。ただ、決して不快ではありません。

むしろ微笑ましいくらいなのです。なぜなら、Mさんの「逆に言えば、」は、お話しが佳境に入っている証拠でもあるからです。その「逆に言えば、」にそそられて、どれほど長居したか判りません。

Mさんの消息が気になって、チェーン店の店長に伺ったのは、それから3週間近くも経った頃でした。こわごわ訊ねたところ、「あぁ、近くに移っただけよ。300mも動いてないんじゃないか?」と、至極あっさりとした返答。最悪の事態を想定していただけに、本当に脱力しました。

新しいお店の場所を聞き、訪ねることが出来たのは、それからさらに1週間後でした。訊けば、今までの場所は借家で、かれこれ30年近く居たのだとか。それがようやく、自分の店を持つことができ、この4月にオープンしたのだそうです。

見通しの良い駅前の四つ角に、新しいお店がありました。修理に使う機材はかつてのまんまでしたが、作業場を兼ねた店内はとても明るく、かつての陰気くささ(それはそれで好きだったのですが)はありません。

そして、遠目にもそれと判る、青地に白抜きで「カメラ修理」と大書された真新しい看板。この時代に「カメラ修理」の看板を掲げ続けるところに、Mさんの意気込みを感じます。なんだか、とても嬉しくなります。

なにより、いちばん大きな変化は、かつてガラクタのように放り込まれていたクラシックカメラたちが、綺麗に磨き上げられたうえ、値札付きで鎮座していたことでしょうか。ショーケースは以前と同じものでしたが、綺麗に整理整頓され、適度な間隔を保ちつつ、何台ものカメラが整然と並べられています。

可笑しくなって訊ねたところ、「試しにインターネットのオークションで売ってみたら、予想外に良い値がついて驚いた」のだそうです。「だから、そう言ったでしょ!?」と、こちらは有能なプロデューサーになった心地。Mさんは、恥ずかしそうに頭を掻いていました。

こうなると、こちらは意地でも、Mさんに修理していただくブツを見付けなければなりません。

さて、肝心の「間一髪」について、なにも書いていませんでした。実は、新しいお店の駐車場が判らず、お店の前の四つ角に路駐していました。Mさんの「逆に言えば、」にそそられて、ついつい、長居をしていたのですが、折しも、民間取締とやらが始まった日の翌日です。

「そろそろヤバいなぁ…..」と思い始め、心ならずもMさんの話を打ち切って店外に出た直後です。取締員の方が、まさにいま、フロントのナンバープレートを写さんとしゃがみ込んだところでした。

つい3日前に、三連続でゴールド免許の更新を果たしたところでした。瞬時のうちに、いろんな思いが去来しました。子どもの笑顔、カミさんの微笑み、恐いお巡りさん、警察署での振込、もしかして、裁判沙汰……?

「すみません、すぐ動かします!」と叫びました。「なにか言われるかな?」と思いましたが、取締員の方は私と眼も合わそうとせず、車の後方に退いて行かれました。私はそのまま車に乗り込み、バックミラーで取締員の方の動きを気にしながら、その場を立ち去りました。テレビが報道していたとおりです。ステッカーを貼られるまでは大丈夫でした。

それにしても……と思います。ちょっとくらい店内を覗いて、「お宅の車ですか?」と一声かけてくれれば良いものを……。いやいや、御上には逆らいますまい。

皆様も、くれぐれもお気を付け下さい。車は駐車場に停めましょう。そして、目的地まで歩きましょう。たった、それだけのことですから。

(了)

Oki0071

Comments:4

散歩道 06-06-13 (Tue) 23:17

■marmotbabyさん、
さてさて事の顛末は如何に、と気を揉みながら待っていました。
「カメラ修理屋」さんも「路駐」も大事に至らず一安心(笑)
おっ、そうだ、カメラの修理メンテは、これからmarmotbabyさん経由で
お願いすれば良いのですね(^_-)

marmotbaby 06-06-13 (Tue) 23:27

散歩道さん、早速のコメント、ありがとうございました。
それにしても、駄文の長文を最後まで読んで下さったことに感謝!です(嬉)。
路駐…..本当に冷や汗が出ました。二度とゴメンですね。しかし、お仕事で路駐をせざるを得ない方のことを思うと、なんとも世知辛くなったものだと…..もちろん、無くて良い事故が減るのは大歓迎なのですが。
修理の件、良いことを聞きました。今度、MさんにHPを持つようにそそのかしてみますね!

complex_cat 06-06-15 (Thu) 8:50

いや〜,かなりのめり込んでは意見しました。完結編が速く読みたいなと思いまして,無事,読めてホットしております。
こういう方の技も,銀塩文化を支えてきたかと思うのですが,伝承が難しいですね。
カメラは全部「作り捨て」,になるんでしょうね。

marmotbaby 06-06-15 (Thu) 20:55

C_Cさん、こんばんは。過分なコメント、ありがとうございました。
ホンとは月曜日にエントリーしたかったのですが、らしくない多忙さで、ついつい、日延べしてしまいました(苦笑)。いささかもったいぶった記事になってしまい、申し訳ありませんでした。
とは言え、なにより、私自身がホッとしていました。消息を知るまでの約1ヶ月間、幾度となく「廃業…. ?」の二文字が頭を掠めて行きましたから。
「作り捨て」、仰るとおりですね。そう言えば、なんだか最近、「風格のある廃棄物」が少なくなった気がします。

Comment Form
Remember personal info

Trackbacks:0

Trackback URL for this entry
http://memoranda.egoism.jp/blog/2006/06/%e7%b6%9a-%e7%b6%9a-%e9%96%93%e4%b8%80%e9%ab%aa%e3%80%82.html/trackback
Listed below are links to weblogs that reference
続 続 間一髪。 from memoranda

Home > 写真機 > 続 続 間一髪。

Spider
Recent Entries
Recent Comments
Archives
Categories
Now Playing
flickr Photostream
DSCF7851DSCF7849DSCF7848DSCF7846DSCF7844DSCF7840DSCF7839DSCF7853DSCF7833
TagClouds
Search
Feeds
Meta
Counter

Return to page top