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祖父の呪い。

Oki0108

職場のエレベーターには、姿見のような鏡がしつらえられています。単なる親切なのか、実用上の意味があるのかは不明です。ただ、目的はどうあれ、箱の中にひとりだけなら、目的の階に着くまでの間、多くの人が身だしなみをチェックしているはずです。

とても古いエレベーターなので、ハーフミラー越しの監視カメラがセットされているわけではありません。その古さを形容すれば、「シンドラー社もビックリ」の精度だと言うことでしょうか。1〜2cmの段差など、日常茶飯事です。

過日、いつものようにエレベーターに乗り込みました。入った正面に鏡があるので、自ずと身だしなみを見てしまいます。すると、頭頂部に、なにやら蜘蛛の巣のようなものが貼り付いています。

いつの間に付いたのかな….と訝りながら触ってみると、思いがけず、頭皮が引っ張られます。地毛だったのです。にわかに信じがたい心地がしました。放っておこうかな…..と、一瞬、ためらった後、思い切って引っこ抜くことにしました。

間違いなく、白髪でした。根元から中程までが黒く、徐々に茶色になり、先端までの約5cmは完全な白髪でした。

汚い話で恐縮ですが、ここ1、2年、白髪の鼻毛にはよくお目にかかりました。指先ほどの長さですが、毛根から先端まで、透き通るように真っ白い鼻毛を見ると、それはそれなりに、自然の造形を感じさせるものがあります。

しかし、頭髪の白髪は初めてでした。

以前にも書いたかも知れませんが、禿頭(とくとう)となるよりは、白髪になりたいと切望しています。D&L Tourにおける教授のように。

しかし、遺伝的な連なりを手繰って行くと、どう逆立ちしても禿頭になる確率が高い。父方の祖父など、三十路を迎える前には、既に波平さん状態であったとか(祖母談)。その祖父は、生まれたての私の頭を指さして、「ワシと一緒じゃあ!」と喜びの声を上げたそうです。

その事実が、いかに私の中に影を落としてきたことか…..。おかげで今日まで、頭髪に無用の細工を施すことを避けてきました。「あのとき、染めたりしなければ……」と、後悔のホゾを噛むことだけはゴメンです。たとえ、それが、遺伝子に刻印された宿命の時だったとしても。

ですから、今日まで生え際を保ち、曲がりなりにも禿頭に分類されないだけの分量を保っていられるのは、こうした意志の力に因るものと、勝手に決め込んでいます。

初めての白髪。この調子で、是非、増えていってもらいたいものです。できうれば、禿頭になるペースを追い越して欲しい。つまらぬ小市民の、切なる願いです。

ただ、やはり大事なことは、禿頭だろうが白髪だろうが、自分の顔(人生)に自信を持つことでしょうか。

Oki0103

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