Home > 光画 > 『小さな伝記』。

『小さな伝記』。

Oki0075

独特の編集で刺激的な写真集を刊行しているHysteric Glamour。その最新巻は、植田正治の『小さな伝記』でした。1974年から1985年にかけて『カメラ毎日』誌上に発表されたシリーズの集成だということです。詳細はこちら。

圧倒的な感性と演出による一連の「砂丘」シリーズとは、いくぶん異なる趣を覚えます。計算され尽くす一歩手前の構図。被写体に対して、どこまでも敬虔なフレーミングとモーメント。ファインダーを覗き、瞬間を切り取る行為そのものが、意志に反して抱えてしまう「演出」を、できることなら削ぎ落としてみたい……そんなふうに思えてなりません。

使われたのは、当時手に入れたばかりのハッセルだったと言うことです。にわかに信じがたい思いがしました。確かに、どの写真もスクエア・フォーマットですが、6×6判を使って撮られたものには見えなかったのです。軽快なコンパクトカメラで、ひょいと撮ったとしか思えませんでした。

最近流行の「ゆるい」写真ではありません。かといって、必要以上の「重さ」を感じさせる「重厚さ」もありません。浮くでもなく、沈むでもなく、強いて言えば、じんわりと染み入るような写真たち、とでも言えば良いでしょうか。

もちろん、私は「写真評論家」ではありませんし、イメージを言葉に置き換える力量もありません。ましてや植田の「心情」に至っては、はるか雲の彼方です。

「植田調」とは「砂丘モード」とばかり思っていた私にとって、この『小さな伝記』は新鮮でした。そして、植田の代名詞のように思われている一連の演出写真の数々よりも、この『小さな伝記』の方が、はるかに私自身に響いてくることに、言いようのない嬉しさがこみ上げてくるのでした。

唯一の誤算は、この『小さな伝記』を購った数日後、蒼穹舎のブログを覗いたところ、怒濤のように森山さんの写真集が並んだことでしょうか。むむ……。

Oki0072

Comments:0

Comment Form
Remember personal info

Trackbacks:0

Trackback URL for this entry
http://memoranda.egoism.jp/blog/2006/06/%e3%80%8e%e5%b0%8f%e3%81%95%e3%81%aa%e4%bc%9d%e8%a8%98%e3%80%8f%e3%80%82.html/trackback
Listed below are links to weblogs that reference
『小さな伝記』。 from memoranda

Home > 光画 > 『小さな伝記』。

Spider
Recent Entries
Recent Comments
Archives
Categories
Now Playing
flickr Photostream
DSCF7851DSCF7849DSCF7848DSCF7846DSCF7844DSCF7840DSCF7839DSCF7853DSCF7833
TagClouds
Search
Feeds
Meta
Counter

Return to page top