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続 起源。

Oki0022

日が落ちて、近隣の弔問客が途絶えた頃、叔父を先頭に、叔母、私の順で、お宅に上がりました。一見して、私の実家と同じ作りだと判りました。典型的な田の字型。襖を取り払えば、たちまち大広間が出来上がる、この地方特有の農家の作りです。

遺体が安置されていたのは、最近になって増築したらしい、そこだけが奇妙に今風の応接間でした。おそらく、正座が辛いからでしょう、傍らの椅子に腰掛けたその方に、叔父が声をかけました。

「よう来て下すった」と、ねぎらいの言葉をかけて下さいました。そして、「わしより先に逝ってしもうたがな…..」と力なく笑いながら、息を引き取る前後の様子を、ぽつりぽつりと叔父に語って聞かせたのでした。

「○○の息子です」と、母の名を名乗り、折悪しく不在で失礼していることを詫び、お悔やみを述べた後、祖母の通夜の折りの御礼をしました。てっきり忘れているだろうと思っていましたが、「やっと、来られましたなぁ…..まぁ、お祖父さんの出られたところじゃけぇ、よう見ていかれぇ」と声をかけて下さったのでした。

隣家の手伝いの方々や、近くに住む親族が多いこともあって、手伝いを申し出る余地もなく、できるだけ邪魔にならないところに座を占めながら、おそらくは、かつて、祖父が兄たちと語らったであろう家の中を眺めていました。

そのことを思うと、なんとも言いようのない感慨を覚えました。四男坊だった祖父がこの家を離れ、祖母と一緒になった時から勘定すれば、ゆうに70年近い歳月が流れたことになります。70年の後、孫である私が、祖父の実家を訪ねることなど、誰より私自身が想像していませんでした。

そうして、忙しく動いている、おそらくは親族の方々と思しき顔を、ボンヤリと眺めていました。不思議なもので、「この人は、どことなく叔父に似ているな」とか、「この人の顔は、遺影の祖父と同じだな」とか、「この人の目の配置は、うちの母に似ているな」などと、どこかしら似通った部分を探していました。

また、そういう場では不謹慎極まりない想像ですが、私の身近な親族の、その遺伝子のどこをどのように組み合わせれば、こんなに美しい人が出てくるものだろうかと、訝る思いにも囚われました。そうして、ほとんど「他人」とも言いうる人々の群れに、かすかでも私との血の繋がりがあることの不思議を思いました。

そうして、ふと、「起源」という熟語が、私の頭の中で反芻されていったのでした。

(つづく)

Oki0018

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