Home > 思惟 > 繋がっているもの(3)

繋がっているもの(3)

  • December 4th, 2005 (Sun) 16:44
  • 思惟

Hirosaki0010

現在の経済状態を維持しつつ、明らかな少子化による労働力不足を補うために、いま、なにがなされようとしているのでしょうか。

「男女共同参画社会」という、誰にも否定しようのないスローガンに隠れているのは、家庭に入っている女性を労働力として吸い上げる試みです。しかし、これもそれほどの数は期待できません。

若者の自己実現病に便乗し、企業の生き残りをかけたパートによる雇用創出(人件費の節約)も、いまはその矛盾が露呈しています。適切な職業訓練の機会が奪われ「人材」が育たない、年金確保のための徴収や税収が上がらず、将来の社会保障制度が立ち行かなくなる…..「学歴」と「職業」が一定程度対応していたかつての「学歴社会」「偏差値教育」の時代の方が、いまよりもはるかに「将来の見通し」を与えていた、と論ずる人もいるくらいです。

いずれにせよ、国内に質の良い潤沢な労働力を見込めなくなるとすれば、自ずと国外にそれを求めることになります。現に、地域によってはこのことが着実に進みつつあるわけですが、これを日常の生活感覚に引き付ければ、「言葉の通じない異国の人々を、地縁を共有する「隣人」として迎え入れる」ことに他なりません。

私の実家のある地区は、戸数10件ほどの小さな集落です。そのうち、既に5件が空き家になりました。なかでも隣家は帰る人とて無く、完全な廃屋です。前回、帰省した折りには、とうとう屋根が崩落してしまいました。

いままでなら、「過疎」として片付けていれば良かったのですが(それはそれで大きな問題ですが)、近年では高速道路のインターチェンジが地区の周辺にでき、物流の要となる倉庫群が林立するようになりました。かつての「農村」の風景は一変し、その土地に縁もゆかりもない人々が職を求めて暮らすようになっています。

しかし、私の実家のある地区では、田舎特有の保守的な気風も手伝って、「見知らぬ他人に土地を売るくらいなら、地区の人間に売って欲しい」と、安心をお金で購っているようなところがあります。しかし、そのことがかえって「来るべき新たな隣人」を遠ざけてしまい、地区はますます無防備になりました。現に周辺では通りすがりの犯罪が増え、実家のある地区でも、ガラスを破られて空き巣に入られたこともあります。

地域が地域として成り立つためには「隣人」が必要です。しかも「安心できる隣人」でなければなりません。しかしその「安心」はお金によって購えるものでも、あらかじめ与えられるものでもありません。ましてや「参入テスト」などを実施しようものなら、それこそ人権問題に関わります。

しかし、現に個人の経済力や生活水準が「参入テスト」に代わる何物かを表象しているとするならば、それによって区画整理された「地区」に安易なレッテルが貼られることは間違いありません。また、地縁を共有しようとして地道に「当事者意識」を紡ぐよりも、レッテルを手がかりにした監視の網目を張り巡らせる方が、遥かに簡便に「安全」を確保しうるようにも思えます。

「「安全」を確保するにはコストを伴う」と言われます。しかし、かけたコストに見合う「安心」を確保できているかどうかは疑問です。「監視していなければ安心できない」のだとすれば、さながら「健康病」に罹って体調を崩すようなものかも知れません。

(つづく)

Hirosaki0011

Comments:0

Comment Form
Remember personal info

Trackbacks:0

Trackback URL for this entry
http://memoranda.egoism.jp/blog/2005/12/%e7%b9%8b%e3%81%8c%e3%81%a3%e3%81%a6%e3%81%84%e3%82%8b%e3%82%82%e3%81%ae%ef%bc%88%ef%bc%93%ef%bc%89.html/trackback
Listed below are links to weblogs that reference
繋がっているもの(3) from memoranda

Home > 思惟 > 繋がっているもの(3)

Spider
Recent Entries
Recent Comments
Archives
Categories
Now Playing
flickr Photostream
DSCF7851DSCF7849DSCF7848DSCF7846DSCF7844DSCF7840DSCF7839DSCF7853DSCF7833
TagClouds
Search
Feeds
Meta
Counter

Return to page top