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因果律と適正値。

  • November 4th, 2005 (Fri) 18:49
  • 思惟

Mat0011

ここ数日のニュース10(NHK)は、温暖化の問題を取り上げていました。ひとつは国内、もうひとつは北極圏に取材したものでした。

国内に取材したものは、ここ数年の海面上昇によって砂浜が浸食され、30年前と比較したとき、確実にその面積が減少しているというものでした。そのために、砂浜の際を走る道路や堤防が抉られ、とても補修が追いつかない状態だと言います。

さらに恐ろしいのは、海面上昇に伴って地下水位が上昇するという話しでした。つまり、本来なら海へ抜けるはずの地下水が、海面上昇による圧力で押し戻されてしまい、行き場を失った地下水が滞留しつつ上昇し、液状化を加速させると言うのです。

意外でしたが得心の行く因果律です。どれだけ鋼管杭打を施したところで、その土台がブヨブヨなのではたまったものではありません。大きな地震が来ればひとたまりもないでしょう。

北極圏に取材したものは、さらに深刻でした。アラスカ州の西端にある小さな島、その島のある村が、村ごと移転せざるを得ない状況にあるというものでした。これも温暖化によるものです。

この島の周辺は、毎秋のこの季節になると、暴風雨が襲うそうです。しかし、かつては凍った海面が荒れ狂う高波から島を守っていたのだとか。いまでは氷が張ることもなく、高波が島を抉り、壊滅的な打撃を与えていると言うことでした。

自然の因果律に対して、我々の快適さの「適正値」を当てはめ、その格差から「地球を守ろう!」と声高に叫ぶことには違和感を憶えます。人間の手が加わろうが加わるまいが、地球は地球として動いています。温暖化によって人間が困ろうが困るまいが、地球にはあずかり知らぬことでしょう。「地球を守ろう!」と言われたって、当の地球は「守りたいのはあなた達自身のことでしょ?」と思っているはずです。

ハリウッド映画的なスペクタクルに慣れてしまった我々は、ドラスティックな事象しか、それを「危機」と認めなくなったのかもしれません。しかしそうした「スペクタクル的悲劇」よりも、それを「治癒」しようとする、淡々とした「日常」の暴力性の方が、実は遥かに恐ろしいのかもしれません。

緩やかに地球が侵されたことよりも、密やかに、そして着実に引き上げられた暮らしの快適さの「適正値」が問題です。その引き下げが国家によってなされるとき、我々はそれを「ファシズム」と捉えてしまうでしょうか…..。

Mat0010

Comments:2

complex_cat 05-11-05 (Sat) 8:00

10年ぐらい前は,科学的とは思えない反論が,まだまだ,巷に溢れておりました。これだけ圧倒的な証拠を見せられても,他の理由を考える方々がおいでだと云うことにちょっと驚きます。
 「全ての現象を説明する理論は科学ではない」ので,何もかも温暖化で説明する向きには注意が必要ですけど。

 生物分野で怖いのは,病原媒介生物の北上です。それと,向こう十年間で,いわゆる日本人が口にしてきたJaponica米を作るための適地から,西日本のかなりの場所が外れる可能性があることです。もちろん唯緩やかに温かくなると云うことにはならないので,災害も頻発する可能性がありますね。
 焚き火をどうしようかと思っている中で,世界中で使っている武器の発する火の量を思うと,そっちを下げる方が遙かにCO2削減に寄与するのではと思います。適正値に下げるのは,それからでも良いような。

marmotbaby 05-11-05 (Sat) 11:22

C_Cさん、こんにちは。
病原媒介生物の北上、japonica米のお話し、とても納得できるものでした。まさに、密やかな脅威ですね。
子どもの頃、通学路の途中に大きな池がありました。冬場になると水面が凍って、よく石を投げて遊んだものです。鈍い響きをたてたあと、石が滑っていく様を楽しんでいました。琵琶湖のほとりに暮らしていた頃の話です。ところが、いまでは凍ること自体が稀だと聞いています。
人間の創り出した自然の脅威に国境は無いわけですから、ここらで立ち止まって考えることが必要ですね。しかも、その脅威の多くが、辺境でこそ顕在化しているという事実。教授の問いかけた「ecoはegoだ」という言葉を考えなければなりません。
焚き火の件で思い出したことがあります。町村合併で市となった周辺の旧町村には、まだまだ茅葺き屋根の農家がたくさんあります。しかし、「市」になったために条例が適用され、消防法の観点から茅葺き屋根は御法度になり、葺き替えせざるを得ないのだそうです。まったく、なにをやっているんだか。

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