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漢詩と名月。

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高校時代、古典と漢文は鬼門でした。中間、期末、実力テスト。古典はコテンパン、五言絶句に至っては、それだけで絶句していました。

とくに、漢文。いくら同じ「漢字」を使っているからとは言え、なぜ「中国語」として教えないのか? それならまだ諦めのつくものを、なぜ「国語」の範疇で勉強しなければならないのか? まったくもって理解不能でした。

最悪なのは、規則性のカケラも見えない「レ点」「一、二点」「上下点」です。およそ、気まぐれに付けたとしか思えないものを「当てよ」と言うのですから、理不尽としか言いようがありませんでした。

大好きな漱石が漢詩の達人だったと知り、「裏切り者」と思ったこともあります。ただ、後年、江守徹朗読によるNHKの『漢詩紀行』に触れ、「こんなことなら、ちゃんと勉強しておけば良かった」と思ったことも事実です。

三泊四日の東京出張。九月の半ばとは思えないほど、暑い暑い毎日でした。空だけは秋晴れでしたが、気温が尋常ではありませんでした。ほとんど缶詰の状態で、さすがに今回はくたびれました。

ただ、そんな折りの「中秋の名月」。ニュースによると、過去30年の間、東京で名月が拝めたのは10回だけなんだそうです。そんな貴重な機会に東京に居られたことが、せめてもの慰めでしょうか。

ビル街に浮かぶ月を見て、杜甫の『月夜』を思い出していました。もちろん、そらんじているわけではありません。そのなかに、たしか「冴え冴えとした月明かりに照らされる、妻の白い腕云々」という一節があったように憶えていたのです。真性漢文アレルギーの私でも、その映像的な美しさには惹かれます。

たしか、出張3日目の夜だったでしょうか。宿泊先のホテルに向かうため、混雑するJRの駅を人酔いしながら歩いていました。目の前を、小学校3、4年生くらいの男の子が、お母さんと一緒に歩いていました。

何処かで買ったのでしょう、手には包装紙にくるまれたススキの穂をもっていました。包装が悪いのか、中のススキがスルスル動くのが面白いらしく、それをお母さんにたしなめられているところでした。

ここから先は、私の「妄想」です。かれらはきっと、高層マンションに暮らしていて、今夜はバルコニーにススキを飾り、お団子を供え、お月見でもするのだろう、と思いました。

漢詩と言えば、李白の『月下獨酌』もありました。下戸の私でも、いっぱい傾けたくなるような、今年はそんな都会の「中秋の名月」だったのでした。

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Comments:2

complex_cat 05-09-20 (Tue) 21:42

右に同じです。大体,予習して一種の暗記をしてきて読めるなんて,視力検査のパネルを暗記するようなものだという矜持(?)があって,参考書も予習もする気がありませんでした。で,いきなり見ても,他の同級生のようには読めない(あたりまえ)。外国語として習えないのかという疑問は私もありました。父が漢詩のLPを持っていて,聴かせてくれたのですが不思議な節と抑揚を着けてのその謡は,およそ棒読み寺子屋的朗読とは全く別の世界で,漢詩を日本語的に読みこなすその作業の意味,それ自体が分からなくなってしまいました・・・ってのは全くの言い訳です(笑)。

 風蕭々兮易水寒
 壮士一去兮不復還
      (荊軻)

これだけは,好きで憶えました。

marmotbaby 05-09-21 (Wed) 17:51

C_Cさん、こんばんは。
小学生時代の視力検査のボード、未だに憶えています。
「くつてこへ てりてしこ」
高学年の時、急激に視力の落ちた私は、居並ぶ同級生の前で「はい、一番上の大きな輪っかが良く見えるところまで歩いて。」と言われ、ずいぶん情けない思いをしたことがあります(苦笑)。暗記したは良いものの、いま、どこを指しているのか判らなかった、という笑い話でした。

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