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送り火。

  • August 29th, 2005 (Mon) 18:07
  • 家族

Pen0017

お盆に帰省した折りのこと。その間、両親は旅行に出かけていました。要するに、両親の不在中、猫に餌をやるために帰省したようなものでした。

そのほかにも、盆の送り火を頼まれていました。私が子どもの頃は、家族みんなで家の前の畦に出て、舟にみたてた里芋の葉にお供え物を並べ、ロウソクを灯し、線香を焚いていました。ひと夏の終わりを告げる、ささやかな行事です。

送り火のあと、花火をしました。我が家だけではなく、隣家も同じようにするわけですから、いっとき、交流の場が生まれ、ちょっとした花火大会の様相を呈してきます。いまでは、隣家に人もなく、我が家だけになってしまいました。

(当時はロケット花火が出回り始めた頃でした。いま考えると、これほど狭いスペースで、よくロケット花火などを打ち上げていたものだと思います。調子に乗って、田んぼめがけて水平撃ちなどしていましたから….)

ある時期から、各戸で送り火をするのではなく、公民館まで舟を持って行くことになりました。地区の家々から舟が持ち込まれ、一斉にロウソクが灯されるので、それはそれは美しい光景でした。

消防法によって、各戸で行うことが規制されたのかもしれません。ただ、4〜5年前からは、再び自宅の前で行うことになっていました。おそらく、公民館での後始末が大変だったのでしょう。

両親から送り火を頼まれたときは、なんの気なしに引き受けていました。当然のことと思っていましたし、やらないこと自体が不自然だったからです。ところが、いざ準備のために仏壇の前に立ったとき、はて? と困ってしまいました。舟の上に、なにを載せるべきなのか、皆目見当がつかなかったのです。

干涸らびた陰膳は乗せるのか? お供え物を乗せるにしても、プラスチック製の容器やラップにくるまれたお菓子・果物の類は、包装を取るべきなのか、あるいはそのままでも良いのか? 乾物の素麺や干し椎茸の類は? また、お寺から頂いたお札は乗せるのか? 乗せたあと、燃やしてしまって良いものか? さらに、そのまま放置しておくべきなのか、放置しておくにせよ、片付けるのは明日の朝で良いのか等々……。

要するに、当然持っているべきはずの基礎知識が、まるで欠けていることに気付いたわけです。近くには、頼るべき両親も祖母もいません。隣家は軒並み空き家ですから、古老に知恵を借りるわけにも行きません。仕方なく、旅先の両親に電話をかけ、恥を忍んで問うたのでした。すると、

「わしも、よ〜判らん。なにしろ、迎え火もしとらんから」

という始末。唖然としました。

仕方なく、これ以上はムリと思えるくらいまで、徹底的に簡略化した「送り火」になってしまいました。先祖は呆れていたことでしょう。情けなさに落涙し、冥府に帰るには帰るが、至極不機嫌だったはずです。私が先祖なら、その場で暴れていたでしょう。

実家を離れて暮らすとは、こういうことなのかもしれません。情けなくて、涙が出ます。来年は、お寺に伺って、送り火の作法を受け継いでおこうと決心したのでした。

Pen0048

Comments:3

mimi 05-08-29 (Mon) 20:44

僕がご先祖様だったら。
先祖A:あいつは、何~も知らんようじゃでよ。
先祖B:反対に並べちょるで、行って教えてやらんとな。
先祖A:行ったら、ビックリしよるぞ。
先祖B:あっ、もも落としよったぞ。
先祖B:洗わんとのっけてよるぞ。わしらにそのまま食わすんかのう。病気になったらどうするんじゃ。
先祖A:わしら、もう病気にならんぞなぁ。
先祖B:そうじゃのう。わすれとったわ。
先祖A:あたふたしとるがのう。
先祖B:おう、あたふたしとる。
先祖B:しかし、うれしいのう。わしらのことを覚えてくれよる。
先祖A:おぼえてくれよるなぁ。
先祖AB:来年も、あたふた見せてもらいたいのう!

って感じです。作法より気持ちですね。

complex_cat 05-08-30 (Tue) 0:55

このアーティクルは最高です。下のmimiさんのコメントとともに。
 いや作法の細かいことはどうでもよく,その精神こそが大切なはずと,作法を知らない私も思いたいです。

marmotbaby 05-08-30 (Tue) 19:54

mimiさん、C_Cさん、こんばんは。
コメント、ありがとうございました。mimiさんの「脚本」、とても嬉しく、また大笑いしながら拝読しました。
ただ、いかんせん、「私の先祖」ですから….私に流れる血を遡って考えると、さほど寛容で鷹揚な祖先がいるとはとても思えません(笑)。
「気持ちがあれば」ということに甘えないよう、来年は作法に則って完璧に勤める所存です(決意)。

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