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「戦争はなかった」。

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3日間、離島で過ごしてきました。そのお話しは、写真が仕上がってからポツポツと綴ることにします。文字通り「命の洗濯」をした心地です。一生の思い出に残る旅行となりました。

不在の間、flickrでコンタクトさせて頂いているMichiyo196さんから、”2005.8.6 Worldwide Internet Art Project“に招待して頂きました。2005年8月6日の午前8時15分に撮影した写真を、世界各地から募集しようというものです(詳細はこちら)。

広島市に生まれた私にとって「原爆」「ヒロシマ」は、特別な響きをもって迫る言葉です。若き日の両親が過ごした場所は、いまでは山陽新幹線の高架下になっているようです。後年、アラン・レネ監督の『24時間の情事(ヒロシマ・モナムール)』(1959)を観て、当時の広島を垣間見た思いがしました。

私が広島市で過ごしたのは、生まれてから1歳にも満たない間のことです。ですから、当時の記憶など、かけらもありません。ただ、両親が語ってくれた昭和40年代の広島は、高度経済成長期の只中にあったとは言え、未だ生々しく「戦後」が残っていた頃です。

先々週のNHKアーカイブスでは、昭和57年(1982)放映の「きみはヒロシマを見たか 〜広島原爆資料館」を再放送していました。1982年とは、私にとってついこの間のように思えるのですが、冷静に考えれば23年も前のことです。

そのドキュメンタリーをぼんやり眺めながら、ある種の驚きを隠せませんでした。それは、被爆体験を持つ方々が、間違いなく1982年時点での「現役世代」として存在し、力強い言葉で当時を語っているということでした。

仮に、放映当時に60歳だった人は、現在、優に80歳を越える年齢になっています。画面に映し出される光景(走っている車のデザイン、人々の服装やヘアスタイル)には、いくぶん、古めかしさを感じるとはいえ、現在と変わらぬ鮮やかなビデオ映像と、それが23年も前に撮影された映像であることとの間に、私自身の認識が追いつかず、困惑を憶えました。そして、いま現在、被爆当時を肌で経験した人々が、確実に減り続けていることに、ある種の恐れを感じずにはいられませんでした。

離島で3日間をともに過ごした友人は、帰国して私に会うまでの間に、長崎と広島の平和資料館を訪ねていました。そこで彼が見たものは、ある種の「生々しさ」が脱色された展示だったと言います。

それが、単に展示物やその配列の仕方の問題なのか、配列のコンセプトそのものに依るものなのか、あるいは彼の感性に根差すものなのかは判りません。ただ、時間の流れが不可避的に生身の体験者を喪失させる現実が、否応なく受け手の想像力を枯渇させてしまうのだとすれば、それは本当に恐ろしいことのように思えます。

以前、『世にも奇妙な物語』の中で、「戦争はなかった」(1991)と題するドラマがありました。そこでは歴史が書き換えられ、原爆ドームは「広島大火災記念館」とされていました。従軍体験を持つ主人公(林隆三)だけが、太平洋戦争のことを記憶していて、周囲の人と話が合わず、困惑します。

主人公は、いちどは戦争体験を伝えることを諦め、歴史が書き換えられた不条理を受け入れるのですが、「広島大火災記念館」が取り壊されると聞いて憤怒します。そして街に飛び出し、「戦争はあったんだよ!、日本は戦争をしたんだ!」と叫びます。

現実の不条理は、もっと密やかで、したたかに進んでいるのかもしれません。

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Comments:2

complex_cat 05-07-23 (Sat) 9:39

久しぶりにここのアーティクルを読むことが出来ました。
アメリカやイギリスへの日本からの留学生のかなりの割合が,日本が連合軍と戦争をしていたことを全く知らないというレポートを読んだことがあります。
 仰るとおり,現実の方がしたたかで,ある人達にとっては都合の良い下地が作られていますね。

marmotbaby 05-07-25 (Mon) 19:07

C_Cさん、こんばんは。出張から無事に戻ってきました。返信、遅くなってすみませんでした。
逆にアメリカの若い人の中には、「日本はアメリカの州のひとつ」だと思っている人もいるようです。決してアイロニーではなく。
「知らない」ことが「新たな価値」を産むのかもしれませんが、個人的には、あまり歓迎したくない気がします。せめて、我々を都合良く動かしているものがなんなのか、そこに向けたアンテナだけは張っていたいものですね。

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