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美しい光景。

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独身の頃の話です。歩道を歩いて交差点にさしかかる頃、信号待ちの親子らしき二人連れが、視界に入ってきました。くたびれた作業着の男と、4歳くらいの身綺麗な女の子。その取り合わせのギャップに、身体中の警報ベルが鳴り響き、その気もないのに「監視する眼」になりました。

こちらからは、背中しか見えません。おまけに西日の逆光に遮られ、ほとんどシルエットの状態です。ですが、「監視モード」に入った私の眼は、自分の「不審」を裏打ちしてくれる「状況証拠」を探し出そうとしていました。

ようやく眼が慣れて、ふたりの手元を捉えたとき、ホッと胸を撫で下ろしました。手を繋いでいたのが女の子だったからです。無骨な男のひとさし指を、小さな手が包み込むように握っていました。それはとても、美しい光景でした。

こわばった身体がほぐれ、思わず設定した約3mの警戒ラインを解除します。何事もなかったかのように、並んで信号待ちをしていると、女の子は男に向かって「お父さん…」と呼びかけているようでした。ニッコリ笑いながら。

天気の良い休日には、子どもを連れ出して散歩をしたり、近くの公園で遊ばせることがあります。そのたび「この子を自分の子どもだと証明する手立てがあるだろうか?」と、ふと思うことがあります。そのため、ことさらに子どもを名前で呼んでみたり、せっかく夢中になって砂場と格闘している子どもに「一緒に遊ぼうよぉ」とちょっかいを出し、逆にうるさがられて周囲の不審を招いてみたり….。

カミさんが傍にいないときなど、気が付けば、周囲の冷ややかな目線を感じることがあります。とくに小学生の女の子の集団はいけません。明らかな警戒モード、遊びにも身が入らないようで、こちらをちらちら見ています。

そこへカミさんが現れてくれると、女の子たちはあっという間に警戒を解き、「可愛い!」などと言いながら、駆け寄ってきてくれます。なんなんだよ、いったい。

ことほどさように「不審者」に見えるらしい自分の人相・風体を呪うこともありますが、自分でさえ、他人の親子に対してそう思うことがあるくらいですから、仕方ないのかもしれません。それだけ、監視社会が行き届いたと言うことでしょうか?

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Comments:4

complex_cat 05-03-11 (Fri) 23:39

画像はいわゆる,泥団子ですか?ご無沙汰しておりますが,相変わらず,アーティクルも画も素敵ですね。どこに着けようかと思ったのですが,私も似たような経験がありましたのでここに。

 上二人はパパっ子でありましたが,父子で母子連れの中に身を置くのは,場合によっては,なかなか辛いものがありますね。私は,気がつかないふりをするのが上手いので,何とかやり過ごせますが,全く無視か,警戒心をなかなか解いて貰えないというようなことは時々ありました。ただ,私の出で立ちが圧倒的に普通の父親と違うので(CONTAXとなにやら分けの分からないおんぼろクラシックカメラと更にデジカメ,公園の隅でこっそり練習する,或いは通り魔的な輩用の古武術用の「丈」か或いは「棍」か或いは・・・),怪しすぎるのは怪しく無いの逆説もあるかと。

marmotbaby 05-03-12 (Sat) 10:33

C_Cさん、怪しすぎます(笑)。大笑いしてしまいました。

単に私が自意識過剰の認識不足なのかと思っていましたが、やはり、同じようなことがありましたか。なんなんでしょうね、このうしろめたさは….。
先方に顔と名前を覚えてもらわない限り、男親はこういう憂き目に遭いますね。タマにはカミさんを1人にしてあげようと、子育て支援センターなんぞに行こうものなら、たちまち「間違えた!」ということに気が付きます。あそこは、一種、独特の雰囲気です。そういう場があることをありがたく思うものの、どこからしら親同士が妙によそよそしくて…..。歩いて行ける距離にあり、知り合いに会う確率も高い公民館の方が、まだ良いです。

C_Cさんのブログ、相変わらずSafariでは画像が表示されず、困っていました。やはり、Excite Blogの問題なんでしょうか? 早く復旧してくれると良いのですが。仕方なく、Netscapeで見ています。
お忙しくしておられるご様子、くれぐれもお体を大切になさって下さい。
ちなみに、最初の写真は泥団子ではなく、ゴムボールなのでした。いずれphotoblogの方に、カラーを載せます。泥団子、いずれ作らされるんだろうなぁ….。

complex_cat 05-03-12 (Sat) 12:12

Safariで画像が表示されませんか? 今,更新・閲覧とも,全てSafariでやっております。システムの違いでしょうか。
Safari 1.0.3; OSX 10.2.8 PowerBook G4 867Mhz
以前は,一番練習したヌンチャクを持ちあるいていましたが,見た目武器っぽくて危なそうに見えるので(実際は,使える方の持つ杖の方がよっぽど危ない得物ですが),お弁当の布ケースなどに入れて持ち歩いていましたが,取り出せば同じなので,最近は杖ばかりです。これだとただのツエだ,危なくないと本人だけがそのつもり(笑)。
 地方都市と昨今の不景気,幼稚園のPTAなどにワイフを休ませようと,無理して間違って出て行くと,見事に男は私一人でした。いい年なので,内心の動揺は隠しますが,トラップに引っかかった猫のような気分になります。

marmotbaby 05-03-12 (Sat) 18:34

C_Cさん、こんばんは。
そうですか、Safariで見えるんですか…うーん、何がいけないのかなぁ….。
こちらの環境は、OS X 10.3.8、Safari1.2です。迂闊にアップグレードしない方が良いかもしれませんよ。Googleで検索してみたのですが、同じような事例は出てきませんね….。知り合いの同じ環境で試しても、やっぱりダメでした。しばらく、様子を見ることにします。

それにしてもヌンチャクとは….。公園での練習は控えられた方が…(笑)。

(高校時代、「あいさつ運動」なる校門の立ち番に順番が回ってきて、イヤイヤ立っていたときのこと。同じ担当日だった定年間際の先生が竹箒で掃除を始めたので、仕方なく私も付き合いました。その竹箒を持っている姿が、遠目には竹刀を持っていたように見えたらしく、「たかが「あいさつ運動」に、なんで竹刀まで…?」と、他の先生や友人に呆れられていたそうです。はなはだ不本意でした)。

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